監視・連携で合同パト

希少動植物の盗採・盗掘防止パトロールを行った徳之島署員ら関係者=22日夜、徳之島町林道「山クビリ線」

希少動植物を守れ
安全確保も課題 徳之島

 【徳之島】徳之島地区自然保護協議会(政武文会長・事務局徳之島町)など関係機関・団体合同の「希少野生動植物盗採・盗掘防止パトロール」が22日夜にあった。奄美群島国立公園指定地域や世界自然遺産登録推薦エリアを巡回して不審者がいないか目を光らせた。徳之島町林道「山クビリ線」では、関係者車両が通過直後に倒木が林道を直撃。エコツアー客らの安全利用面の課題も浮き彫りにした。

 希少な固有種が多いことから、愛好家(飼育・栽培・標本収集)らの盗掘・盗採の対象地ともなり、重要な影響を与えると懸念。世界自然遺産登録推薦書(附属資料・地域別行動計画)にも基づき、昨年9月から約1年ぶりの合同実施に。環境省や林野庁出先、徳之島署員、3町職員、3町希少野生動植物保護推進員など計13人が協力した。

 徳之島町花徳であった出発式で徳之島自然保護協の政会長(66)は「徳之島は規模が小さく、しっかりと管理をしないと負荷が掛かりやすい。盗掘・盗採事案も無くならないのが実情で、パトロールが大事」。門扉を施錠し、島内外問わず一般利用者には認定エコツアーガイドの同行(有料)を義務づけた山クビリ線(全長約12㌔)については、先月1日の施錠開始後も「リュックを背負った不審者」の姿が深夜、監視カメラに記録されていたとも報告。

 日常的に一般監視の目が届かずに、死角化しつある可能性もうかがわせた。

 合同パトロールは徳之島北部、中部、中南部の3班で実施。「山クビリ線」には徳之島署員4人と町職員らが参加。巡視と併せてアマミノクロウサギやトクノシマトゲネズミ、オビトカゲモドキなど希少種にも遭遇。一見の価値の感動も分かち合った様子。

 そして2時間余の同活動の終盤地点。最後尾(3台目)の報道関係車両の背後から、漆黒の森林で枝葉を切り裂くような轟音が。「落石? イノシシが突進?」。対向ルートで入山して来た大学生ら調査班の車両(許可済み)が、間もなくUターンして「倒木で通行不能に」。立ち枯れしたリュウキュウマツ(樹幹約35㌢)の倒木が落下して林道を寸断。間一髪で直撃をまぬがれていた。

 エコツアールートの総点検による危険要因の除去。安心・安全な観察環境の提供も喫緊の課題といえる。