クロウサギ4匹の死骸

犬に襲われたと見られるアマミノクロウサギの4匹の死骸=26日午前、徳之島町母間(環境省・徳之島管理官事務所提供)

 

関係者に衝撃 犬歯痕状で共通、犬が襲撃か?
徳之島町母間

 

 【徳之島】徳之島町母間の中山間部の農道などほぼ同一エリアで26日朝、国指定特別天然記念物アマミノクロウサギの成獣計4匹の死骸が次々と見つかった。いずれも犬に襲われたとみられ、腰部の損傷の大きさや犬歯状痕があり共通。一夜にして一挙4匹もの滅失確認は同島では初。関係機関・団体など関係者に衝撃を広げている。

 場所は、同島最高峰の井之川岳(645㍍)のすそ地にタンカン園が広がり、町指定史跡「母間線刻画」にも近い同町母間の字石原地区エリア。畑に向かっていた農家が午前7時ごろ、農道上で変わり果てた姿の2匹を発見。連絡を受けた県希少野生動植物保護推進員の池村茂さん(63)が確認。周辺点検でさらに山手方向約30㍍の共同倉庫付近と、約7百㍍離れた別の農道上でも1匹ずつ計4匹の死骸を確認した。

 池村さんによると4匹は体長が約45㌢、体重は約2・3㌔程度のいずれも成獣(オス3匹、メス1匹)。クロウサギのロードキル(交通事故死)なども監視して警鐘を鳴らしているが、「こんな光景は見たことがない。ネコと違ってクロウサギの腰の部分が犬歯状の歯型を残して大きく噛みえぐられ、死に方が共通」。最初の2匹の間隔は約5㍍で「複数で襲ったと見られる」とし、放し飼いや野良犬の影響を指摘する。

 ほか、前日の25日朝には同エリアでロードキルに遭った1匹(オス成獣)も確認。わずか2日間で計5匹が犠牲になっていた。

 環境省の奄美群島国立公園管理事務所・徳之島管理官事務所側もこれら滅失個体を確認・回収。沢登良馬国立公園管理官(28)も「噛まれた部位が全て腰部と共通。ネコは首を噛んで窒息死させるが、犬歯と見られる直径約5㍉の穴が約5㌢間隔であった。肉食獣では犬しか考えられない」。そして「同時に4匹とは経験がなく大変驚いている。ネコ問題だけが叫ばれてきたが、犬の脅威も改めて分かった。関係機関と連携して取り組みたい」とした。

 同島内におけるロードキルやノネコによる捕食、その他原因不明含め、今年のクロウサギ滅失確認は34匹目(26日現在)。早くも昨年1年間の計33匹を上回っている。