IUCN調査 奄美大島、徳之島とも終了

IUCN調査 奄美大島、徳之島とも終了

現地調査について会見した環境省沖縄奄美自然環境事務所の東岡所長(右から2人目)、同省自然環境計画課の植田課長(左から2人目)、林野庁九州森林管理局計画課の河邉課長(左)、県環境林務部の大山次長兼奄美世界自然遺産総括監(右)

 

沖縄行きの飛行機に搭乗するIUCN専門家のウルリーカ氏(左)とウェンディー氏(中)

 

住民と連携取組みも説明

 

 ユネスコの諮問機関IUCN(国際自然保護連合)は10日、世界自然遺産登録に向けた沖縄島北部(やんばる)と徳之島、奄美大島の現地調査を終えて、最後の西表島調査のために沖縄本島へ移動した。同行した国、県の関係者などが奄美空港駐車場で会見して、現地調査の概要などを報告。結果は西表島の調査と合わせ、評価書にまとめられ来年5月ごろに世界遺産委員会に勧告される。

 会見に臨んだのは、環境省沖縄奄美自然環境事務所の東岡礼治所長、同自然環境局自然環境計画課の植田明浩課長、林野庁九州森林管理局計画保全部計画課河邉喬=たかし=課長、県環境林務部の大山浩昭次長兼奄美世界自然遺産総括監。東岡所長が、奄美大島と徳之島などの現地調査の概要を発表した。

 IUCNの専門家ウェンディー・アン・ストラーム氏とウルリーカ・オーバリ氏は8日、やんばるの調査を終えて沖縄から空路徳之島入り。報告によると、徳之島では照葉樹林帯や追加編入した森の状況などを見てもらい地元NPOの自然保護活動の取り組みなどの話を聞いて、同日夕に空路で奄美空港に移動。奄美大島入りした両氏はナイトツアーに参加して、林道でアマミノクロウサギやアマミトゲネズミなどの固有種を観察した。

 9日は大和村の奄美野生生物保護センターで、奄美大島がさまざまな絶滅危惧種や固有種などの生息地であることや、ノネコ捕獲事業などの外来種対策を説明。奄美大島の推薦地の核心部の照葉樹林帯では雲霧林や渓流の植生を視察し、追加編入したエリアも実際に歩いてもらい連続性を説明したという。

 10日は午前中に、奄美大島の自然保護や観光の関係者と、意見交換会を実施。内容は非公開とされたが東岡所長は、「前回『登録延期』を勧告されたにもかかわらず、地元がしっかりと熱意持って活動に取り組んでいるのをアピールしてもらった」とした。

 東岡所長は「IUCN側には前回の勧告を踏まえて、やんばるの北部訓練場返還地を国立公園などに編入し推薦地に追加編入。奄美大島なども分断された推薦地を一つや二つにまとめ直した。外来種、希少種保護対策を住民などと連携して取り組んでいることを説明できた」と強調。「地域はより一層自然を保護したいと感じて取り組んでいる。(奄美沖縄の環境省の)管理官を含めて守る態勢をとっていきたい」と語った。

 IUCNは調査結果を評価書にまとめて、「登録」「追加照会」「登録延期」「不登録」の4区分で世界遺産委員会に勧告する。来年7月ごろに世界遺産委員会で、登録の可否が決議される。