「ヒシクイ」飛来

奄美大島に飛来しているヒシクイ(龍郷町秋名)=西康範さん撮影=

黄金色の穂波から“ニュッ”

 国指定天然記念物の「ヒシクイ」が奄美大島に飛来している。奄美市名瀬の西康範さんは16日、龍郷町秋名でその姿を撮影した。黄金色に輝く穂波の隙間から3羽並んで“ニュッ”と首を出す姿がかわいらしい。

 NPO法人・奄美野鳥の会編『奄美の野鳥図鑑』によるとヒシクイは、身体全体が暗褐色の大型(78~100㌢)のガン。くちばしは太く黒色で、先端近くが黄色。足はオレンジ色。ユーラシア大陸北部で繁殖し、日本を含む東アジアや中央アジア、ヨーロッパなどで越冬する。奄美大島の水田や農耕地、海岸などに迷鳥として飛来するものは亜種・オオヒシクイで、越冬の記録もあるという。

 西さんは「3羽同時に見るのは初めて。全身が撮りたくて30~40分待ったが、雨風があったからか同じ所でじっとたたずんでいた。ちょうど黄色い稲穂が出ている中にいて絵になった」と撮影時を振り返る。奄美野鳥の会の鳥飼久裕会長は「ここ数年は毎年、冬場に何羽か来ている。水田や農耕地で見られるが、驚かさないように30㍍ほど離れて見てほしい」と話した。