神秘の音魂〝朝崎ワールド〟

大好評だった朝崎郁恵さんの「徳之島への恩返しコンサート」=10日夜、天城町防災センター

天城町で「徳之島への恩返しコン」
650人の観客を魅了

 【徳之島】奄美の島唄を国内外に広めるなど、世界的に活躍する唄者・朝崎郁恵さん(84)の無料公演、「徳之島への恩返しコンサート」(天城町文化協会主催)が10日夜、同町防災センターでもあった。予想を超えた約650人の観客が訪れ、奄美島唄の真髄と斬新な洋楽器とのコラボレーションなど〝朝崎ワールド〟に浸った。

  朝崎さんは1935年11月11日、瀬戸内町加計呂麻島生まれ(現在横浜市在住)。「ひぎゃ唄」など奄美大島南部の島唄伝承の第一人者で、米・カーネギーホールなど海外公演、国立劇場では10年連続公演も達成。放送中のNHKBSプレミアム「新日本風土記」テーマ曲「あはがり」でもおなじみ。「魂を揺さぶる声、深い音霊」は世代を超えて感動を届けている。

 群島各地での無料恩返しコンサートは「自分が今あるのは島のおかげ。島に唄で恩返しを」と2017年から開始。徳之島でのステージは13年5月の「ちゅらさあまみ」公演いらい6年ぶり。天城町文化協会は当初、町防災センター観覧席(可変式約400席)分の入場整理券を用意したが、発券日の午前中に全て配布。漏れた希望者の強い要望に、自慢のスライド式観覧席を使わず、折り畳みのパイプイスを並べて約650人に対応した。

 朝崎さんは、祝い唄「神唄」を皮切りに「長朝花」や「くるだんど節」、島唄の師匠・福島幸義氏が贈った思い出の唄などを、聞く者の心に訴え染み込ませる独特のやさしいこぶしや裏声で披露。タナカアツシさん(三味線・ギター)、奈良大介さん(ジャンベ)、NORIKOさん(ピアノ、キーボード)らとのコラボでも魅了した。

 地元の中高生ら島口ミュージカルグループ「結シアター手舞」一行も力強いステージでオープニングアクトを務め、朝崎さんを感嘆させた。