和光園合同慰霊祭

祭壇に献花し、394柱の冥福を祈った和光園合同慰霊祭

 

 

「差別・偏見のない世の中を」
394柱の冥福祈る

 

 奄美市名瀬の国立療養所「奄美和光園」(加納達雄園長)は14日、園内の講堂で2019年度合同慰霊祭を開いた。会場に参列した遺族や入所者、職員らは黙とうと献花を捧げ、昨年の慰霊祭以降に亡くなった3人を含む394柱の御霊=みたま=の冥福を祈った。

 加納園長は「今や和光園は入所者の平穏な暮らしの場へと変貌している。一人ひとりの生活を支える最大限の働きをしていく所存」。また、6月のハンセン病家族訴訟の判決に触れ、「病を理由とする差別・偏見の払しょくはさらに強く求められている」と強調し、人権教育の場としての役割を強めるため、年度内に歴史資料館を開設する予定にあることを紹介。「入所者の静かな暮らしを守るべく、職員一同研さんに努めていく」と述べた。

 また、遺族代表は「国のさまざまな施策により、ハンセン病に対する偏見・差別に関しては徐々に解消に向かっているが、まだ十分なものとは言えない現状。家族訴訟に対する控訴断念といったニュースもあり、今後ますます偏見・差別のない世の中になることを切に願う」(代読)と思いを寄せた。

 式では参列者が列をなし祭壇に献花。式後には園内の納骨堂に移動し、安置された物故者の位牌に手を合わせた。

 和光園は1943年に開設。48~49年のピーク時には360人以上の入所者数を記録したが、14日現在では21人(男7人、女14人)。入所者の高齢化が進んでおり、平均年齢は85・86歳となっている。