累計4100匹を処置

捕獲された野良猫は不妊手術を行い元の場所などに放される(提供写真)

5市町村TNR事業19年度実績
ネコ発生源対策に注力

 奄美大島ではノネコ(野生化した猫)が、森の中などで固有種や希少種を捕食する問題があり、島内5市町村はノネコの発生源対策として、野良猫に不妊手術を行うTNR事業を実施している。2019年度(12月末現在)の実績は811匹で、これまでの累計は4100匹。事業を行う奄美大島ねこ対策協議会(事務局・奄美市環境対策課)は、今後もモニタリングや捕獲に注力して里から山に野良猫が入るのを防ぎ希少種などの保護を図るという。

 TNRは野良猫を捕獲して不妊手術して放す事業で、地域で集中的に実施することで、その地域の野良猫個体数の抑制につながるという。

 奄美市が13年度に単独で、野良猫TNR事業を実施。14年度に大和村、15年度に瀬戸内町も開始され、16年度からは5市町村全体での取り組みが奄美群島振興交付金事業を活用して行われている。また奄美市では、鹿児島大学との包括連携協定によるTNR事業も18年度から開始されている。

 昨年12月末段階の市町村別実績は奄美市が565匹(鹿大TNRの521匹含む)、瀬戸内町206匹、大和村40匹、宇検村と龍郷町でも事業は行われる見込みで、これから3月までに処置数が確定する。

 全体の累計数は、4100匹。今年度から5市町村のTNR事業が委託業者に一本化されたことから、これまで難しかった集落ごとのモニタリング作業を通し個体管理が可能になったという。

 奄美大島ねこ対策協議会の平田博行会長(市環境対策課長)は、「TNRを世界自然遺産推薦地のコアに近い集落で、モニタリングも併用しながらやっていきたい。名瀬や瀬戸内町の市街地では、集落を越えて移入が見られるので捕獲数を上げる手法。その他の地区では、モニタリングに重点を置き野良猫が増えないよう注視する二本立てで希少種保護などに取り組んでいく」と話した。