21年度奄振概算要求

 

コロナ禍での感染症対策支援
交付金19%増の28億5700万円
公共事業減で総額200億4千万円

【東京】国土交通省は25日、2021年度奄美群島振興開発事業関係予算の概算要求を発表した。それによると公共、非公共を合わせた概算要求総額は20年度当初予算比94%(6%減)の200億4400万円。公共事業は同91%(9%減)の171億7800万円、非公共事業は奄美群島振興交付金が19%増の28億5700万円となり、奄美群島振興開発調査費と合わせて28億6600万円を計上した。非公共事業では、新型コロナウイルス感染症対策事業などを盛り込んだものとなっている。

 

前年度比91%にとどまった概算要求額が減額した公共事業のうち、大きく変わった区分は、港湾空港。対前年比76%の20億8600万円となっている。奄美空港の無線設備事業が、今年度完了を迎えることによるもの。また、農業農村整備では、沖永良部島の国営かんがい排水事業(地下ダム)も今年度完了する予定のため、48億9900万円から同94%の44億円。社会資本整備総合交付金も、奄美市の末広・港地区の土地区画整理事業が完了する見通しのため、同97%の52億600万円にとどまった。

防災・安全交付金についても、緊急災害対策が進んでいることで現在、事業のはざまとなっていることなどから30億4800万円から同94%の28億6600万円となった。水道廃棄物処理が同24%の増額となったのは、今年度から事業を開始した、与論島の廃棄物処理施設用として計上した2億2200万円が盛り込まれたため。

公共事業には、新型コロナウイルス感染症への対応等に必要な「緊要な経費」は含まず、ほかに3カ年緊急対策後の激甚化・頻発化する自然災害への対応に必要な「緊要な経費」については、事項要求を行い、予算編成過程で検討するものがある、としている。

一方、非公共事業の奄美群島振興交付金は、同19%増の28億6600万円。物資の輸送費支援、航路・航空路運賃軽減事業など奄美群島の自立的発展や奄美群島の特性に応じた産業の振興、住民生活の利便性の向上に資する事業を支援する。コロナ禍での入込数激減に伴い航路・航空路運賃軽減事業への支援は減少するものの、農業の生産性向上・水産業の振興、成長戦略の実現に向けた支援がなされる。また、世界自然遺産登録に向けたキャンペーンへの支援も継続され、あらたに感染症対策事業への支援が追加されたことが、要求額が増えた要素となった。具体的な感染症対策事業として、ICT技術等を活用したオンライン化などの取り組みへの支援、「3密対策」として、防災施設の間取りを改善するための改修工事への支援、新型コロナウイルス感染症を受けた奄美群島内の小規模事業者等に対する利子補給による支援となっている。