自治体のオープンデータ化推進

広域連携した自治体のオープンデータ化などについて意見交換した研修会

群島の課題解決など期待
デジタル社会対応へ広域連携図る

 情報技術を活用して、奄美群島の自治体や民間団体と協力し地域課題解決に取り組む民間組織「Code for AMAMI(コード・フォー・アマミ、松岡宏満代表)の「第1回奄美群島オープンデータ研究会」が30日、奄美市の自治会館で、オンラインを活用し開催された。奄美群島広域事務組合や各自治体の職員らが参加、自治体のオープンデータ化をテーマに意見交換した。同研究会は今後、自治体が連携してオープンデータ化を推進、デジタル社会を見据えた住民サービスの向上や経済活動への活用などを目指していく。

 オープンデータは、自治体などが保有する「人口統計」や「公共施設の場所」など様々な情報を、市民や民間企業に有効活用してもらうことで、社会経済全体の発展に生かす取り組みで、政府が中心となって、全国の自治体で推進している。

 現在、全国の1741自治体の約半数にあたる828自治体で実施されているが、県内43自治体では10自治体のみ。奄美群島では奄美市だけと、取り組みが遅れているのが現状だ。

 こうした状況から同研究会では、群島内自治体のオープンデータ化を推進しようと、奄美群島広域事務組合や各自治体などが参加する組織づくりを進めることにしている。

 この日の研究会では、内閣官房情報通信技術総合戦略室の下山紗代子・政府CIO補佐官が、オープンデータ活用策などについて説明した。下山補佐官は、自治体のデータ管理の現状について「縦割りで管理され、必要な人に必要な情報が届いていない」などと指摘、オープンデータ化を推進することで情報を一元的に集約、複数のデータを組み合わせることで、バスの運行情報など様々な住民サービス提供に活用できることを紹介した。

 また、自治体がデータを公開することで、情報開示請求などの事務作業が軽減、行政の効率化が図られるほか、データの適正管理など不正抑止にもつながるという。

 昨年12月にオープンデータ化を開始した奄美市の押川裕也・働き方改革担当官は、公衆トイレ一覧や地域・年齢別人口など6データについて公開していることを報告。各自治体が同様の様式で情報を公開することで、データを横断的に活用でき利用者の利便性向上が期待できるとして、「奄美群島共通の地域課題解決に向けた利用を考えていきたい」などと語った。

 Code for AMAMIの松尾代表は「奄美群島全自治体と協力し、デジタル社会を見据えた住民サービスの向上や経済活動に生かせる仕組みを構築していきたい」と語った。