県試験コーヒー「平張り施設」実証

防風対策などのコーヒー「平張りネットハウス」栽培実証試験を見学する関係者=4日、伊仙町

課題は「防風対策」
徳之島で研修会

 【徳之島】国産コーヒー産地化を模索している「徳之島コーヒー生産者会」(吉玉誠一会長、約30戸)初の栽培研修会が4日、県農業開発総合センター徳之島支場(伊仙町面縄、白山竜次支場長)であった。最大の課題である防風対策試験で同支場が昨年着手した「平張施設(平張りネットハウス)」によるコーヒー栽培実証試験の模様や中間成果を共有した。

 同生産者会は2017年6月、徳之島コーヒープロジェクト「ジャパニーズコーヒー」ブランド化を模索している味の素AG㈱や伊仙町などと事業協定を結び3年目。産地化の最大の課題である台風など防風対策や適性品種を模索しながら面積拡大(現在約2・5㌶)を目指している。

 こうした中、県農業開発総合センター徳之島支場(園芸土壌研究室)は伊仙町当局の依頼を受けて昨年4月から実証試験に着手。生産者会の育苗(現在3年木)と、自らの実生苗の計4品種(トパージオ、オバタリ種、ロングベリー、ラナス)を従来は電照菊など花き類に使用している平張り施設(高さ約2・5㍍)内に定植。初品目の栽培実証試験を進めている。

 研修会には島内の生産者会員のほか、徳之島高校総合学科生物生産系列の2年生7人を含む約30人が参加した。コーヒー栽培歴40年近くの吉玉会長はあいさつで「台風など防風対策が最も大事」、白山支場長は「ネットで覆った平張り施設での栽培方法など情報を交換・共有したい」と強調した。

 同支場の中島純・園芸土壌室長によると、検討中の台風など強風に対する防風効果は半分以下に低減。意外にも「強日射に弱い」というコーヒーへの強日射対策試験では、▽遮光率95%が①着果枝数0・5本②着果数1個だったのに対して、▽同50%は①8本②92・3個▽40%は①9本②88・7個。じつは〝半日陰〟環境が適していた特性も提示。栽培に適した品種選定では4品種のうち「ラスナ」が樹高51・5㌢でトップ。ほか、かん水設備のない地域での定植後の省力かん水対策では、園芸専用保水材「ウォーターワークス」の検討例の紹介もあった。

 吉玉会長をはじめ参加者らは、熱帯地域の作物でありながら、意外にも〝半日陰〟の環境が適していたことなどに驚嘆。徳之島高の寿山隼さんや郷和紀さんは「光に弱いと初めて知った」「大手企業と連携してメイドイン徳之島のコーヒーブランドができるといい」と話していた。