「3密」防止はどこへ

一時は待機・行列が約800人に膨れ上がったプレミアム付き商品券の販売会場=10日午前9時半ごろ、徳之島町文化会館

プレミアム率100% 徳之島町商工会 販売、長蛇の列  
コロナ禍

 【徳之島】徳之島町商工会(吉川清吾会長)の地域活性化プレミアム付き商品券発行事業による同商品券の第1回販売が10日午前、町文化会館であった。国の新型コロナウイルス対策交付金で町助成が大幅に増額され、プレミアム率は購入額の2倍となる100%。「先着順」「完売しだい終了」の案内もあってか、「3密」防止には程遠い長蛇の列ができ、初日分3700セットを完売した。

 町当局が国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金を財源に補助額を2500万円に大幅増額。同商工会としての同商品券発行事業は、会員事業者(取扱登録285店)で共通して使用できる商品券による地域内の消費の喚起、事業者の販売促進・地域経済の活性化が目的。

 今回は、現金5000円で1万円分の商品券(1000円券10枚綴り)を1世帯当たり2セットまで購入ができる。商品券の発行総額は2500万円にプレミアム分の同額(100%)を加えて5000万円。商品券の利用期間は来年1月31日までとなっている。

 第1回販売(3700セット上限)は10日午前10時~午後3時まで計画していた。新型コロナ対策では[マスク着用」「手指の消毒」「2㍍以上離れて並ぶ」(ソーシャル・ディスタンス)をチラシで事前告知。適正販売と混雑防止のため「商品券購入申し込み票」提出も義務付けた。

 ところが、前代未聞の100%プレミアムによる「先着順」「完売しだい終了」の案内もあってか、会場の文化会館には午前6時すぎから老若男女の住民たちが駆けつけた。販売開始1時間前の同9時ごろには約800人に膨張。その行列は会館敷地をはみ出して県道(歩道)―文化会館南側町道を一周し、最後尾は隣接の町体育センター駐車場をも埋めた。商工会側は急きょ整理券を配布し、当初の販売開始時刻を約10分間早めて開始。午後2時半ごろ完売した。

 「3密」防止が世界的な社会常識となった中での大混雑。午前6時すぎから並んだという近くの主婦(40代)は「(関係者に)密にならないで、と言われたがこの人数では無理。コロナが流行(はや)っているこの時期のこの販売方法にも疑問が。でも金額(プレミアム率)が大きいので」と苦笑していた。

 商工会の担当者は「町の協力がないと住民一人一人のデータが得られない。この時期に〝強行突破的〟になってしまったが、会員事業者たちの活性化が一番の願い」と自省しつつ理解を求めた。11日午前10時からは町北部の前川生活館(花徳)で1300セットが販売される。「ソーシャル・ディスタンスを保ち万全の対策で販売したい」と表情を引き締めた。