中孝介さん新作アルバム 「あなたがいるだけで」を発表

「歌詞も読んで味わってほしい曲(すべてに意味をくれるもの)もあります」とアルバムの手応えを披露する一方「スマホ、ライン」などの言葉も出てくるという。「ようやく歌い慣れました」と中さんは、笑顔で語る

年末のコンサートへ手応え披露

 【東京】中孝介さんが、10月28日に8枚目のアルバム「あなたがいるだけで」をリリースした。コロナ禍により、数多くのアーティストがコンサートの中止を余儀なくされた2020年。活躍のステージを失う異例の年をどう過ごしたのか。シマ唄のことや、年末に迎えるコンサートへの意気込みなどを所属事務所で聞いた。(東京支局・高田賢一)

 久しぶりのアルバムは、どんな仕上がりになりましたか?

 「インディーズあり、カバー曲あり、新曲ありのとても満足いく内容です。新曲の『新しい季節』は、愛する人を思う切ないバラード。タイトルにもなっている『あなたがいるだけで』は、日本が大好きなイタリア系フランス人による曲、古き良き歌謡曲を思わせます。デビューからの僕の軌跡を追える一枚になりました」

 コロナ禍でのアーティスト活動は、大変な困難が伴いましたか。

 「観客を前に歌うことができないのは、本当に辛いですね。配信でのミニライブやサイン会などをやっていますが、違和感があります。今年はほとんど活動ができていません。移動すらなくなって、新幹線に乗ったのは2回、飛行機も1回しか利用していませんね。ただ、自分自身を見詰める時間ができ、シマ唄と対峙できたのは、大いに意味がありました」

 恒例の中国などでのコンサートもゼロとなり、焦りもあると思いますが、あらためて歌うことの意義を教えてください。

 「大島紬でおしゃれして豊かな気持ちになるように、音楽も他の芸術と同様に人生を豊かにする一つのツール。ですが、押しつけるのではなく、幼い頃から耳にしたシマ唄のように、自然であってほしいのです。島から内地に行った先輩たちが、ふとした時にシマ唄を聴いたとたん涙が止まらなくなった、そんな話を聞きます。僕もシマ唄から始まった歌手人生ですから、そのような存在なれたら本望です」

 自らに言い聞かせるように語る中さん。聴く者に「あなたがいるだけで」とタイトル通りに感じ取ってほしいということだろう。

 「初の一人でのステージですが、皆さんが大変だったことを少しでも忘れられる時間になれればいいと思います」と力を込める。新作アルバムを引っ提げたツアーは、12月5日の名古屋・三井住友海上しらかわホールを皮切りに、17日は京都・ロームシアター京都サウスホール、20日は、東京・三井ホールで行われる。問い合わせ先はオフィスウォーカー(☎03・3479・0021)まで。