「長寿の島」実態提起も

文科省事業など指定を受け地域課題を主題に取り組んだ徳之島高校の「生徒探究活動発表」=27日、徳之島町

18ラボで生徒探究活動発表会 徳之島高校

 【徳之島】2020年度文部科学省「地域との協働による高学校教育改革推進事業(地域魅力型)」など指定を受けて県立徳之島高校(立石賢二校長)の2年生たちが取り組んだ生徒探究活動の発表会が27日、徳之島町文化会館であった。地域と連携、若い視点で探究した地域の課題や魅力など計18ラボ(うち1ラボは樟南二高)の成果を舞台プレゼンテーションやポスター展示で発表した。

 同校の生徒探究活動は19年度から開始、新型コロナの影響で同初年度発表会は中止。しかし探究成果(報告)は高い評価を受け、20年度については文科省および県の「同教育改革推進事業(地域魅力型)」指定を受けて取り組んだ。

 生徒たちは「総合的な探究の時間」を活用。同島3町の地域おこし協力隊や自治体、商工会などの支援も受けて「我が島への貢献」をテーマに挑戦。地域の各スペシャリストとの対話会「ソクラテスミーティング」や、少人数編成の研究グループ「徳高ラボ」単位で調査研究を進めた。

 発表会には県教育委員会や大学、地域代表など関係者も招待した。立石校長は「大学入試共通テストも読解、思考力が要求される時代。課題を解決しながら未来を創るのは皆さんの仕事だ」と生徒たちに期待。舞台プレゼンには計5ラボのグループが登壇した。

 テーマは▽増えつつある空き家を利活用して地域活性化につなげる「空き家を活かした地域活性化プロジェクト」▽一般住民の平均寿命など実態は逆だった「脱・なんちゃって長寿」▽外来種を駆除しつつ資源化する「徳之島を守ろう」▽郷土料理も知ってもらう「エコバックで郷土料理革命」▽廃棄される部分に付加価値を与え商品化する「徳之島のコーヒー栽培におけるアップサイクルプロジェクト」。ほか、樟南二高生たちも▽島の観光PR映像やエコバックのデザインなど「高校生による地域課題の研究と考察」―で参加した。

 うち「長寿」に関しては、男女2人の長寿世界一を輩出、人口比率でも長寿者が多い半面、全体の平均寿命は全国平均を下回り、天城・徳之島両町の男性については「全国ワースト50」内にある実態も提起。生活習慣病が起因した早世の予防など「本物の『長寿の島』へ」と切実に訴えた。

 指導助言で県教育庁高校教育課の中原嘉久氏は「原因を正確に掘り下げた素晴らしい発表。未来を創造する人材に」。鹿児島大法文学部の農中至准教授は「学校や地域の協力で探求し、ようやく大人と対等のステージに立ったことになる」とも講評した。引き続き「地域課題を主題とした探究活動に関する研究協議」があった。