観光庁ガイドライン・モデル地区選定

「日本版持続可能な観光ガイドライン(JSTSーD)」表紙(観光庁ホームページから引用)

「持続可能な観光地」として国際的認知度向上期待
あまみ大島観光物産連と与論町

 「持続可能な観光」を推進するため、観光庁が2020年6月に策定した「日本版持続可能な観光ガイドライン」の2021年度モデル地区に、(一社)あまみ大島観光物産連盟と与論町が選ばれた。両者は新年度中にガイドラインの指標に沿った講義や調査などのトレーニングプログラムを受講。「持続可能な観光地」として全国の先駆的な役割を担うほか、一定の基準を満たすことで国際的な認知度向上の効果も期待される。

 モデル地区には両者のほかに、全国13カ所が選定さている。

 同ガイドラインは、国際指標のグローバル・サスティナブル・ツーリズム協議会(GSTC―D)が開発した観光基準が基となり策定された。役割としては、①観光政策や計画を決める際のガイドライン②地域が一体となって取り組むコミュニケーションツール③観光地域としてのブランド化、国際競争力の向上のためのプロモーションツール―を掲示。ガイドラインを普及・啓発するため、モデル地区が選定されている。

 なお、ガイドラインによると、GSTC―Dは世界で唯一国連世界観光機関(UNWTO)の指示で開発された指標。四つの分野と計38の大項目、174の小項目が設定されている。

 ガイドラインの指標に基づいた取り組みを進め、基準を満たすことで、国際的な認証団体から表彰や認証を受けることも可能。国際指標として最も高い認証は、国際認証団体「グリーン・デスティネーション(GD)」が設定するGSTC認証。両者は、同認証の入門編である「TOP100選」への入賞を目指す。同選に選ばれると、GDのホームページに掲載され、観光地として国際的な認知度の向上や、サスティナブルツーリズムに関心の高い観光客の誘客につながる見込み。なお、昨年度選出されたモデル地区5カ所は、全地区がTOP100選に入賞している。

 あまみ大島観光物産連盟は、19年に同庁の観光づくり法人(DMO)に指定されている。「地区のキーワードに▽インバウンド(訪日外国人観光客)▽SDGs(持続可能な開発目標)▽DX(デジタルトランスフォーメーション)▽脱炭素を掲げ、ガイドラインの普及に取り組む」と、モデル地区担当者の境田清一郎事務局長は話す。

 与論町の担当者は「ごみ拾いやサンゴ礁の保全などを観光に組み込む事業のほか、星空事業が勢い付けば」と話した。

 来月にオリエンテーションがあり、その後有識者の講義やフィールドワーク、地域の課題解決に向けた調査などが始まる予定。