群島全体への波及効果期待

奄美群島観光マスタープラン策定などについて協議した市町村長会

世界自然遺産踏まえ観光マスタープラン策定へ 市町村長会
24年度からの10カ年計画

 奄美群島12市町村で構成する市町村長会が27日、奄美市役所であった。「奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島」が26日、世界自然遺産に登録されたことを踏まえ、今後の奄美群島の観光振興策などを示した「奄美群島観光マスタープラン」を策定することなどを決めた。マスタープランは、2024年度~33年度の10年間をプラン期間とする計画で、来年度から23年度まで2年間での策定を目指す。世界自然遺産に認定された奄美の生物多様性や地域文化の保全、継承に取り組みながら、遺産登録効果の群島全域への波及浸透を図っていく。

 奄美群島全体を対象とした観光マスタープランの策定は今回が初めて。奄美群島広域事務組合によると、国土交通省が中心となって昨年度作成した観光施策分野についてのロードマップ(~23年度)や新型コロナ後を見据えた対応、生活環境や自然環境への負荷軽減策などについて、先進事例などを参考に、奄美群島への適用の可能性などを検討する。

 マスタープランは、奄美群島の生物多様性や地域文化を保全・継承しつつ、国立公園や世界自然遺産登録の効果を群島全体に波及させることなどを主な目的としている。国交省などと連携、新型コロナ下の受け入れ体制整備や世界自然遺産登録に伴う観光客増加により懸念されるオーバーツーリズム対策などにも配慮した上で、世界自然遺産の登録地には含まれない島々も含めた奄美群島の持続可能な観光振興を図ることにしている。

 市町村長会では、このほか2023年度に期限を迎える奄美群島成長戦略ビジョンについて、24~33年度の新たな戦略ビジョンの策定に向けた取り組みをスタートすることも決定。観光マスタープランへの反映も図っていく。

 また、2015年に設置した「世界自然遺産登録推進基金」について、遺産登録決定を受け、「世界自然遺産基金」に名称を変更、同基金にこれまで32の個人・団体から約400万円の寄付があったことが報告された。今後は、同基金を活用し、奄美群島の子どもたちが環境学習や保全活動などを支援する助成事業を推進する。

 このほか、毎年、国や地元選出の国会議員などに行っている「奄美群島振興開発の推進に関する要望書」では、「奄美群島成長戦略ビジョン実現に向けて産業の振興と安全安心な定住環境整備を推進するための要望事項」などについて、8月にも関係機関に提出する。