闘牛フォーラムinとくのしま

伊仙町「闘牛フォーラムinとくのしま」=31日、同町ほーらい館

「闘牛は地方創生育んだ」
国文祭伊仙町 文化の意義見詰め直す

【徳之島】国民文化祭の伊仙町イベント「闘牛フォーラムinとくのしま」は31日午前、同町ほーらい館であった。著書『闘牛の島』などのノンフィクション作家、初代徳之島闘牛大使の小林照幸氏が「地方創生を育んだ徳之島の闘牛文化」で基調講演。専門家らをパネリストに同島の闘牛文化の意義を見詰め直し、夜は闘牛大会も併催した。

フォーラムには町内外から約3百人が参加。闘牛が題材の島唄「前原口説」(演奏・泉教室一行)で開会した。大久保明町長は農民の娯楽「慰み(なくさみ)」として発生し約4百年の伝統とされる同島の闘牛について「特殊合計出生率を含め、地域力は闘牛文化にある。地方創生を切り開くパイオニアに」などと絶賛。樟南二高の「徳之島伝統闘牛文研究会」の部員2人が先輩たち取り組みなど11年間の経緯などを紹介した。

基調講演で小林氏は、1954(昭和29)年~61年に44戦42勝1敗1引き分け、「全島一優勝旗」を通算16回獲得した徳之島を代表する名牛「実熊牛」(徳之島町亀津)のエピソードや、闘牛振興に尽くした有志たちの功績なども解説。「徳之島の闘牛は地方創生などなかった遥か昔から地方創生を育んできたと言っていい」「徳之島の闘牛は日本の闘牛界のメジャーリーグだ」と強調した。

パネリストおよび発表題は▽闘牛資料収集・研究家の関喜三郎さん(伊仙町)「徳之島闘牛・歴代の名牛たち」▽宮城邦治沖縄国際大学名誉教授「徳之島闘牛と沖縄闘牛を繋ぐ人々」▽桑原季雄鹿児島大学法文学部教授「世界的に見た徳之島の闘牛」。

関さんは半世紀に及ぶ趣味の闘牛資料収集・調査を通じ、沖縄闘牛界41連勝中だった不世出の名牛「ゆかり号」に徳之島から遠征して土をつけた「鮫島号」も紹介し、「闘牛は世代を越えて引き継がれていくだろう」。宮城氏は、沖縄闘牛界の振興にも尽くした前田村清氏や加山里静氏(ともに徳之島町出身)ら有志も紹介し「井戸を掘った人を忘れてはいけない」。桑原氏は世界中でも「勝利した後の手舞い足舞いやワイド節の存在などは他地域に見られない徳之島の特徴。最も文化的要素が強い」などと強調した。

会場質疑では、観光素材としての視点から手舞い付きの闘牛入場シーンを増やすべきとの意見や、闘牛にまつわる「負の部分」や駐車場確保対策などを求める意見もあった。