国文祭・天城町

1年余をかけた集大成で800人余の観客を感動させた中高生らの「島口ミュージカル」=1日、天城町

伝統芸能も新しい「文化の形」で表現された

伝統と若者文化融合 笑顔と感動の渦に
圧巻の島口ミュージカル

【徳之島】第30回国民文化祭かごしま2015の天城町「方言フェスタinとくのしま 島口の力~方言の魅力~」(同実行委員会主催)は1日、天城小体育館を中心にあった。町内の中高生41人と町連合青年団員たちが心を一つに1年越しで取り組んだ「島口ミュージカル 結―MUSUBI」も初公演。島口・歴史・伝統芸能・闘牛などを題材に若者たちの新しい芸術文化が融合。満員の観客を笑顔と涙の圧巻のステージで感動させた。

同体育館は県外からツアー客約百人を含む800人余の観客で埋まった。地元の宮村美希さん(高1)と森田葉月さん(中2)の麗しい島唄で開演。大久幸助町長は「国文祭を契機に新しい形で島口を後世へ。(中高生・青年グループ)『結シアター手舞(てまい)』の公演を通じて島の文化を見直し魅力を感じて欲しい」とアピール。

同町与名間出身の落語家・桂楽珍さん(吉本興業)が「ワイド節」の出囃子とともに、島口ネタのミニ講演と寄席でわかせた。同島観光連盟からは観光大使委嘱状の贈呈も。

同町では2013年8月に国文祭実行委を設置して、翌14年に中高生や青年団主体の「島口ミュージカル」劇に決定。同年9月には第1期島口ミュージカルメンバーの中高生を募集。沖縄県の一般社団法人タオファクトリーの専門家から沖縄の伝統芸能「組踊」をベースとした現代版組踊など指導も受けて練習。今年4月は第2期メンバーも加え、カウントダウンしながら1年2カ月間練習を積み上げ初公演を迎えた。

舞台は1862(文久2)年の徳之島。薩摩藩から再遠島の刑に処され、後の明治維新の立役者ともなった西郷隆盛。その人柄に惹かれて師と慕い、京都にも同行した青年「徳嶋=とくのしま=仲祐」(現在の天城町出身)との2人の志が綴られていく物語。島民とのふれあいや愛加那母子と再会など迫真の演技とともに、伝統芸能(棒踊り)や闘牛なども織り交ぜ約1時間半にわたって熱演。中高生らの初公演とは思えない完成度の高さと、説得力で観客たちを感動させた。

リーダーで西郷役の徳田翔太さん(樟南二高3年)さんらは、関係者たちの支えに感謝しながら、「これで終わらせるのではなく、徳之島の新しい文化としてこれから先10年、20年と伝えていきたい」とお礼を述べた。

国文祭応援隊(ツアー)で仲間12人と大阪から帰省した同町出身の三島初子さん(70)は「歴史を大事に、ユイの心も島口文化からと再認識」。子どもたちの頑張りには「その世界に引き込まれて大いに泣きました。ここまで頑張ったことを今後に生かしてほしい」と、興奮冷めやらぬ表情で絶賛した。

屋外では「わっきゃが市場」や昔ながらのサトウキビ圧搾機「サタグンマの実演」、町内「島口めぐり」もあった。夜は、台風で延期していた夏祭りの花火大会もあった。