深山トンネルの貫通式で鏡割りする関係者(提供写真)
県が昨年度から整備を進めている瀬戸内町篠川下福線で、深山工区「深山=みやま=トンネル」(370㍍)の掘削がこのほど完了し、25日に同トンネル内で貫通式が行われた。行政関係者や施工業者などが出席するなか、無事故によるトンネル貫通を祝い、引き続き工事の安全と早期供用を祈願した。供用開始は2016年度中を予定している。
県道篠川下福線は、奄美大島半島南西部と島内中心部を結ぶ交通ネットワークの一部で、国道58号の迂回路線として、防災・救急体制の効率化や観光・産業の振興につながる重要な幹線ルートと位置づけ。同町篠川から西側の地区住民にとっては、奄美市など中心部へ向かう主要な交流ルートとして期待される。
急峻な深山工区(トンネル含む計画延長560㍍)は幅員が狭く、急カーブが続くなど交通の難所となっているため、県は11年度整備事業に着手。トンネル本体の事業費は約10億円。幅員は8㍍で車幅が5・5㍍(片側2・75㍍)、歩道はなし。掘削工事は15年3月開始。短縮効果は約700㍍を見込む。
この日の貫通式では発破に続いて通り初めの儀や、鏡開きがあり、無事故による貫通を祝った。県大島支庁の本重人支庁長は「交通難所の解消で、南部地域の交流に寄与することを期待したい。今後も災害に強い道路整備など、島内交通の円滑化を進めたい」とあいさつ。
同町内では今年、網野子トンネル(3月)、久根津トンネル(6月)と次々に幹線整備が進んでいることを受け、鎌田愛人町長は「交流拡大につながり、地域の発展に大きく影響するもの。一日も早い供用開始を願う」と期待感を示した。
県大島支庁瀬戸内事務所によると、今後の工程はトンネル内部の仕上げ、出入り口整備など。来年度中の供用開始に向け、「早期完成に努めたい」(建設課)としている。