移動規制1週間

移動規制がスタートして1週間。ポンカンの廃棄作業も順調に進んでいる

島外移出禁止理解進む
ポンカン廃棄も順調

奄美大島へのミカンコミバエ侵入に伴い、植物防疫法に基づく緊急防除による規制対象品目の島外移動規制がスタートして20日で1週間が経過する。この間奄美大島への玄関・出発口となる奄美空港や名瀬港では、植物防疫官が旅行者に対して行った啓発効果と合わせた規制取り締まりを実施。個別廃棄命令を発出する事案はなく、消費者の理解が高まっている。また、島内5市町村によるポンカンの廃棄作業も進み、関係機関一体となった早期根絶の取り組みが加速している。

植物防疫所では13日以降、奄美空港と名瀬港に植物防疫官を配置し、移出規制を実施。14日から18日までは群島内各港、空港で広報活動を行い、奄美大島からの対象品目持ち出し禁止を啓発した。農林水産省植物防疫課の島田和彦課長は、「海空港での規制は皆さんの理解もあって指導段階で協力していただき、個別の廃棄命令を出すことなく移出阻止できた」と効果を強調した。

また14日以降、ミバエ種群の誘殺が確認された地点から半径5㌔以内の園地で生産されたポンカンに対し、植物防疫官が廃棄命令書を出し、同日の瀬戸内町、奄美市を皮切りに廃棄作業もスタート。同町の約67㌧を最高に、18日までに5市町村で約150㌧を廃棄した。同町や同市などでは廃棄量が年間生産見込み量を超えており、根絶に向けた生産農家の協力姿勢がうかがえる。

作業は年内まで続く予定だが、奄美市ではタンカンの廃棄に向けた準備もスタートした。21日から同市名瀬の奄美大島選果場で、単価設定などの手続きを終えた果実の持ち込みが始まる予定で、残る4町村も年明けまでにはタンカン廃棄に向けた体制を整える方針。移動規制基準日以降、誘殺が確認された対象品目の廃棄作業は順調に進んでいる。

一方、同法で島内流通が規制できないことから、名瀬中央青果㈱へのポンカン出荷も続いている。同社の福山治社長によると、この期間、ポンカンは一日だけゼロの日があったものの、残る日は40~50㌔程度の出荷量があり、県の買い上げ単価以上(自家消費は90円、その他40円)のセリ値が付くこともあったという。16日に県が単価を発表したトマト、ミニトマトなどについては通常通りの出荷量だった。

福山社長は「他の寄主植物と比べ、ポンカンはミバエが卵を産み付けにくいという情報もある。ポンカンを食べたいという消費者もおり、島内流通が認められていることから、廃棄と島内流通のどちらを選択するかは農家次第」と話した。