ミカンコミバエまん延防止への協力を呼び掛けるパンフレット
正月休みを利用し年末年始をふるさとで過ごす帰省が始まったが、農林水産省は奄美大島での緊急防除の周知を図っている。島外への果実類などの持ち出し禁止は地元では理解されているものの、移動で島内に訪れる帰省者や観光客などの旅行者は情報が十分に届いていない可能性があり浸透させていく。
果実や果菜類に被害を与える重要病害虫・ミカンコミバエが奄美大島で発見されたことで、同省は今月13日から、未発生地域へのまん延防止のため、植物防疫法に基づき緊急防除に関する省令を施行。寄主植物の移動規制が行われている。
同省植物防疫所では奄美大島への玄関・出発口となる奄美空港や名瀬港で、植物防疫官が旅行者に対して啓発活動と規制取り締まりを実施。「旅行者の皆様へ」と題したパンフレットでは、まん延防止の観点から「柑橘=かんきつ=類(タンカン・ポンカン・在来のミカン等)、スモモ、マンゴーなどの果実類については、島外へ持ち出すことができません」と明記している。
この中では持ち出すことができない植物の例の一方、持ち出すことができる植物の例として「未成熟(緑色)バナナ、カボチャ、サトイモ・タイモ、スイカ、トウガン、パイナップル、メロン等」を挙げている。奄美大島内で生産された加工品は規制の対象外だが、カットフルーツなど単なるカットしたものは規制の対象になることも強調。また、住民説明会でも質問が出たが、リンゴや温州ミカンなど島外で生産され、奄美大島に持ち込まれてスーパーなどで販売されている果実類(移動規制対象品)も購入後、それを島外に持ち出すことはできない(規制対象)ことをアピールしている。
食べ残しなど果実の廃棄にあたっても注意が必要。ミカンコミバエが寄生する可能性があるためで、▽ビニール袋に密閉して生ゴミとして適正に廃棄▽未収穫物や残渣については、そのまま果樹園などに放置せずビニール袋に密閉して適正に廃棄―を呼び掛けている。
同省植物防疫所は「奄美大島でのミカンコミバエの早期根絶のためには地元住民、旅行者の理解と協力が欠かせない。ぜひお願いしたい」として、島内外の移動が活発になる時期の浸透を図っている。