農家 初動見直し訴え

ミカンコミバエ問題で自民党県議団が現地視察を行い、果樹農家から現況の聞き取りなど行った

廃棄量、見込み大きく上回る
自民県議団 ミカンコミバエ問題で現地視察

自民党県議団7人が28日、奄美大島へのミカンコミバエ種群の再侵入の問題に関する現地視察を行った。タンカンなど果樹農家から意見聴取したほか、廃棄命令が出されたポンカン・タンカンの計量・埋設処理が行われている奄美市名瀬朝戸の選果場など視察。農家からはミバエの飛来が確認された際の初動マニュアルの見直しや、この問題に対する行政側の情報周知のあり方について意見や要望が出された。

地元選出の永井章義、向井俊夫、林健二の3議員のほか、曽於、出水、阿久根など柑橘=かんきつ=類を主な産地とする地区選出の議員計7人。龍郷町の岡山俊一さん、また同市名瀬の平井学さんと孝宜さん親子の果樹園をそれぞれ訪問し、現況など聞き取りを行った。

岡山さんは「奄美は本土への害虫の侵入を防ぐための防波堤のようなもの。だからこそ平時の防除にも力を入れてほしい。(ミカンコミバエの)一番の寄主植物となっている自生のグアバ等への対策や、空き家などにもあるミカンなどの対応も今後、進めてほしい」と要望。

平井学さんも「奄美大島の移動規制はこれが2度目。再々侵入がないように初動マニュアルを見直すとともに、(平時から)沖縄並みの防除対策を取っていただきたい」と訴えた。

孝宜さんは「農家など一般の人がミカンコミバエに関する情報を知る手段が、現状は新聞だけに限られている印象」と指摘。県や市町村のホームページなど、インターネットで詳細な情報が入手できるよう時代に沿った情報開示を求めた。

また帯同した県職員からはポンカンの廃棄量が約250㌧、タンカンは当初見込み(約800㌧)よりはるかに多い約1500㌧を見込み、買上額も4~5億円になるとの見通しが説明された。

果樹園の視察後、自民党果樹・園芸振興協議会長を務める瀬戸口三郎議員=曽於市区選出=は「今回初めて現地に入って(農家の)声を聞き、情報開示のあり方などいくつか課題も見えてきた。廃棄量が当初の予想を上回るのではないかという予算的な問題も感じたので、国・県・市町村が連携し、早期収束に向けて取り組んでいきたい」と述べた。

奄美市区選出の永井章義県議は「果樹は奄美の産業でも大きなウエイトを占めており、特にタンカンはブランド化も進める重要な品目と認識している。当面は早期根絶に向け、とにかく春までの間に収束を図ることに全力を挙げたい。その上でミカンコミバエの発生要因や初動対応なども含め、今後の体制づくりもしっかり考えていかなければならない」とした。