高倉屋根を葺き替え

大和村大和浜にある群倉、保全の一環で高倉屋根の葺き替え作業などを実施する

経験、知識伝承は優先課題
大和村大和浜の群倉

大和村大和浜集落に現存する群倉=ぼれぐら=では老朽化に伴う高倉屋根の葺き替え、一部建物の補強工事が進められている。歴史的価値を持つ群倉は観光資源としても魅力的で大きな期待が寄せられているが、今後の保護に向けて葺=ふ=き替えなど、一連の作業技術の伝承は優先課題になっているという。県指定文化財保護事業費の補助を受け、2015年度内の完了を予定。 

村教育委員会によると、現在群倉には5棟の高倉が残されており、
これまでも、約5年に一度は各屋根の葺き替えを実施するなど保全に努めているが、2010年の豪雨災害の影響も受けて一部に傾きも見られるようになり、近年老朽化が目立ってきた。建物の歴史は古く、1棟は1877年頃に建てられたもので、そのほか4棟も建立から100年以上は経過しているという。2004年、群倉は県文化財建造物の指定を受けた。

敷地内に設置された説明板によれば、建築様式は明らかではないが、一説では神話時代の稲倉と同型式と言われたり、室町時代、南方(特に東南アジア諸国や南洋諸島など)と交流の盛んな頃に南洋から琉球を経て伝わったとも言われる。

高倉は主に穀類を貯蔵するための倉庫として使われていた。過去、大和浜の群倉周辺には田んぼが広がり、最大で27棟の高倉が建っていたが、減反政策や大和川の河川改修、県道79号線の改良工事などで減少。現在村内には他集落に建つものも合せ、全部で13棟残っている。

以前は経験、知識を持った人たちが所属する施工業者が葺き替えを担っていたが、近年は高齢化なども進み、作業の伝承は課題の一つに。今回、旗振り役を務める森和正さん(63)も、かつて作業に携わっていた。森さんは「若い人を中心に経験者を増やしていく必要がある」と指摘。昨年、群倉も含む文化財保護などを目的に奄美カルチャークラブを設立した。

従来、屋根に使う茅=かや=には主にリュウキュウチクを使用していたが、今回はススキも刈り取り、材料に加えた。比較的耐久性があるリュウキュウチクの確保も今後必要だという。森さんは「工程の各役割を6~7人で分担し、作業全体のバランスを取れる人が1人いたら、効率的な作業が行える。若い人は覚えも早い。来年以降も経験を積んでもらい、知識などの定着が図れれば」と意気込んでいる。

来週以降に、1棟の土台補修を行った後、葺き替え作業に入っていく予定という。