2度目のヘリ航空防除開始

投下場所へ向け飛び立つヘリコプター

奄美大島南部に重点
初日は笠利、瀬戸内町へ1万3千枚投下

 奄美大島でのミカンコミバエ発生に伴う緊急防除として県は27日、奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島の山間部や崖部へヘリコプターによるテックス板の空中投下を始めた。昨年11~12月に続き2度目の実施。ヘリ2機体制で、初日は奄美市笠利町、瀬戸内町の請島、与路島などに行い、計1万3千枚を投下した。誘殺数が多く確認された同町を重点的に、来月上旬にかけ約15万枚を投下する計画だ。

 空中散布は国庫補助を財源に、県が佐賀県の民間航空会社と委託契約を結んで実施。防除対策の生き残りや寄生した果実からう化が懸念されるオスを完全に除去し、メスとの交尾機会を奪うことを目的に、放任園や廃園、(寄主植物の)野生群落地など、人の出入りが困難で発生が懸念される山間部や崖部へ散布を行うもの。前回は12万2千枚を投下し、奄美大島では昨年12月22日以降、ミバエ誘殺数ゼロが続いている。

 県大島支庁農政普及課によると、テックス板の1㌶当たりの投下枚数は3枚。誘殺数が多かった瀬戸内町など奄美大島南部にはそれ以上の枚数を投下する。散布地域の順番は当初計画通りで、南北から島内中央部にかけて投下エリアを移動するという。

 荒天の影響でヘリの到着が遅れ、航空防除は当初予定より2日遅れで実施。ヘリが駐機する奄美市笠利町の奄美空港では同日午後2時から作業を開始し、機体にテックス板を積み込んで各地域へ向かった。同日は1回のみのフライトで、28日以降は2回をめどに行い、予備日を含めた2月5日までに終了する方針。

 県大島支庁農林水産部の東洋行部長は、「誘殺状況からも最初の航空防除の効果が出ていると考えられるが、成虫の生き残りや寄生した果実からう化するオスが懸念される」と指摘。「住民の協力を得ながら寄生する可能性のある植物の除去に取り組み、地上防除と合わせ早期根絶となることを願っている」と話した。

 東部長によると、地上ではトラップの再配置やテックス板の交換などを行い防除に努める。また2月29日から3月上旬にかけ、3度目の航空防除も計画されているという。