瀬戸内町 年明け後も寄生果実確認

ミカンコミバエが好むグアバは冬場でも着果する。寄生を受けて防除対策の強化があらためて求められそう

メスの活動示す
グアバ冬場でも着果 果実除去、伐採も

 気温の上昇に伴い、すでに寄生した果実からミカンコミバエの発生が懸念されているが、瀬戸内町では年明け後も果実の中に幼虫がいる寄生果実が確認されている。ミカンコミバエの「好適寄主植物」とされるグアバは冬場でも着果しており、同町では野生化したものが多く存在。関係機関は集落説明会などを通して地域住民の理解・協力を図るとともに、果実の除去だけでなく伐採にも取り組み、まん延防止・早期根絶に全力をあげている。

 町農林水産課によると、ミカンコミバエの生息を示す寄生果実の確認は年末だけでなく、気温が低下した1月に入ってからも。ただし2月以降は確認されていない。捕獲トラップによるミカンコミバエの誘殺状況は7週連続ゼロとなっているが、誘殺されているのはオスのみで、産卵するメスは越冬し活動していることが寄生果実によっても推測できる。

 寄生していた植物はグアバ、シマミカン、キンカンの果実。山間部などで自生し野生化したものだけでなく、栽培園でも確認されたという。柑橘=かんきつ=類の着果は冬場だが、グアバの収穫期は夏から秋にかけて。同課は冬場のグアバ果実への寄生について「1回収穫すると、その年の枝に再び着果する。気温が低い冬場は、果実自体は小さい。それでもミカンコミバエが寄生するだけに、小さな果実でも除去しなければならない」と説明する。

 除去などの活動には町、県など関係機関だけなく、若手の果樹農家で組織する生産グループも参加。野生化している植物は根こそぎ除去。庭木などは所有者の理解のもと除去しているが、寄主植物対策で取り入れているのが①果実の摘果による除去②樹木を切り倒す伐採③2年ほど着果がない状態にする強せん定―の方法。町は「依然として警戒や対策が必要な状態で、決して収束していない。ここで油断し防除対策を怠ると根絶は遠のくだけ。庭木では空き家対策、また放任園の対策も取り組まなければならないだけに、所有者の情報など集落のみなさんの協力が欠かせない」として集落説明会などを通し、地域住民の協力を呼びかけている。

 果実、果菜類の害虫・ミカンコミバエの侵入、発生により奄美大島(加計呂麻、請、与路島を含む)では植物防疫法に基づく緊急防除が進められている。規制対象品目の島外移動規制、タンカンなど果実の買上げ・廃棄処分と同時に、県では国や市町村と連携し、計画的な防除に取り組んでいる。大島支庁農政普及課によると、実施しているのは▽ミカンコミバエの発生状況を確認するトラップの増設と調査回数の増加▽オス成虫を誘殺し、交尾機会を少なくすることで、ミカンコミバエの密度を下げるためのテックス板の設置(人力による設置とヘリコプターによる投下)▽寄生する可能性がある寄主植物の調査とその除去―がある。

 このうち各家庭の菜園や自生している寄主植物の除去は、行政の関係機関だけでは難しいことから「生産者をはじめ地域住民の協力が重要」として、県も各市町村の呼びかけに応える積極的な協力や情報提供を地域住民に求めている。除去対策のばらつき、取り残しを防ぐためにも住民の協力姿勢が問われることになる。