自然遺産候補地保全・活用検討会

奄美観光ホテルで行われた「奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会」

マスタープラン骨子案示す
登録に向けたタイムスケジュール求める声も

 2015年度第2回「奄美群島世界自然遺産候補地保全・活用検討会」(座長・小野寺浩屋久島環境文化財団理事長、鹿児島大学客員教授)が17日、奄美市名瀬の奄美観光ホテルであった。世界自然遺産登録を契機とした持続的観光利用などの推進について県が「奄美群島持続的観光マスタープラン」などの骨子案を示し、委員らが検討。今回の骨子案は小野寺座長を中心に中間報告として取りまとめるとし、検討会は新年度も継続するとした。

 同検討会は有識者や市町村長など委員17人で構成する。各骨子案は奄美大島と徳之島それぞれで行われた自然利用部会や各種勉強会などの意見をふまえて作成したもの。マスタープランや施設整備基本構想、奄美世界自然遺産トレイル(仮称)基本構想の骨子案と、利用適正化の方針などについて県が説明した。

 委員などから「国立公園指定や世界自然遺産登録までに市町村がやらなければならない問題について、市町村が取り組めるよう、もっと具体的なタイムスケジュールを示してほしい」という意見や、「国立公園や世界自然遺産にならなくても、自然の価値を高めるための施策なら、どんどん進めていくべきでは。県も遺産関係なく、強く指針を出した方がいいのでは」という声も。また、「保護のための国立公園や世界自然遺産を、観光の看板にしているようにしか思えない」などの指摘もあった。

 小野寺座長は「保護と観光は裏表の関係にある。ちゃんとしたルールは保護を全うするために決めるもの。市町村にとっては奄美大島や徳之島の登録は、一つのきっかけ。日本や世界でどこもやったことが無いようなまったく新しい地域の示し方を考えるもの。今までと違うことをやるのだから大変だが、観光面で考えるならやる気のあるところに人もお金も集まるもの」と語った。

 また、この日は環境省も参加。国立公園指定に向けて作業を進める中で、那覇自然環境事務所の中野圭一次長が「(提出期限である)来年2月には推薦書を出せるつもりで進めていく」と決意を示す場面もあった。