出土品を国指定重要文化財に

出土されたヤコウガイ製の匙

小湊遺跡答申2
ヤコウガイ製の匙の加工場跡の出土状態

小湊フワガネク遺跡・ヤコウガイ製匙など
文化審議会が答申貝の加工示す、交易品利用

 国の文化審議会(宮田亮平会長)は11日、奄美市名瀬小湊にある国史跡「小湊フワガネク遺跡」からの出土品1898点を国の重要文化財に指定するよう馳浩文部科学大臣に答申した。県教育庁文化財課によると近く指定される見通しで、奄美内の国指定重要文化財はこれで2件になる。

 同遺跡は、弥生~平安時代にかけての集落跡で、2万5千平方㍍。近くにある学校の施設拡張事業に関連した旧名瀬市教委の調査で発掘が行われ、2010年に1万2600平方㍍が国史跡に指定された。

 出土品は▽ヤコウガイ製の匙=さじ=83点(12~18㌢)▽アクセサリーに使われた貝玉など貝製品1566点▽土器18点▽石器200点▽ガラス小玉12点▽骨角製品2点▽釣り針など鉄製品17点。すべて古墳時代もので、国史跡に指定された箇所で97年、2000年の2年間に同市教委によって行われた発掘調査で出土した。

 奄美博物館(奄美市名瀬)によると、ヤコウガイ製の匙は各工程の出土品があり、工程を分担して生産していたことも発掘当時の様子などからうかがえるという。同館の高梨修さんは「詳しく調べていくと当時の暮らしぶりを知ることができる。作り方が管理されていたことや、作るための材料(ヤコウガイ)を集中的にとったりしていたこともわかる」と話す。出土品からは同遺跡が貝製品生産などを集中的に行っていた工房的性格が強いことがわかるという。

 同遺跡の発掘調査に長年携わっている琉球大学法文学部教授の池田榮史さん(考古学専門)は「貝の加工が行われていた証拠になるものがまとまって出ている。加工場所と、その加工がわかるものがセットで見つかっていることに価値がある。貝殻のスプーン(ヤコウガイ製の匙)は交易品として利用されており、奄美の遺跡が国際的な交易品を生産していたという証明が今回の指定品目すべて」と話す。

 今回の出土品は同館が保管場所となっており、同館は国や県に意見を求めた上で、「このような指定を受けるので市民や観光客などに見ていただきたい」と、一般公開も検討している。

 出土品が国指定重要文化財になると、奄美の遺跡からの出土品としては初の国指定重要文化財となり、県内の国指定重要文化財は38件になる。