東京で「築地俊造&RIKKI島唄ライブ」

六調で盛り上がり都会の若者たちも踊る築地俊造さんとRIKKI奄美島唄ライブ=新宿区大久保の「R‘Sa-to コート」で

しまうた
23年続けてきただけに息が合った掛け合いで観客を魅了する築地さんとリッキ

島唄の歴史を伝承
聴き入る都会の若い聴衆も

 【東京】新宿区大久保のR’sアートコート(労音大久保会館内)で10日、築地俊造さんと中野律紀(リッキ)さんの奄美島唄ライブが開かれ、大勢の島唄ファンで賑わった。

 1988年に「渋谷ジャンジャン」でスタートした築地俊造さんのライブは通算57回、RIKKIとの共演は23回目をむかえた。

 築地さんの張りのある声で「なつかしゃや~」の第一声が会場に響くと、とたんに会場は奄美になった。

 今回のテーマは生活の唄。「島唄の中にいろいろ唄われている生活の唄から、シマッチュたちの生活史をたどる」と題し、徳之島節、かんつめ節、いきゅんなかな節などを取り上げ、今の若者たちがもう知ることのない昔の奄美の話が紹介された。

 奄美の人がたどってきた歴史、身分制度、薩摩藩時代の黒糖搾取の時代の苦しみから生まれてきた唄、その根底に流れる悲しみなどが語られた。島唄は知っていても、歴史までは知らなかった人も多く、訪れた人たちは、興味深く聴き入っていた。

 築地さんの81歳という年齢を感じさせない張りのある唄声と、「島唄には、女性を唄った唄は数あるけれど、男性を唄った唄は、名前が出てくるくらい」などと、ウイットにあふれたトークで終始会場は笑いの渦に包まれた。 

 リッキも変わらない透き通る唄声で、塩道長浜、むちゃ加那、長菊女節などを唄い上げた。

 締めには、ワイド節、六調など賑やかな曲も披露され、訪れた人たちの踊りも飛び出し、懐かしい島の時間を会場全員で楽しんだ。

 東京では島唄の第2次ブームの予感もあり、客席には新しい若い顔ぶれも目立った。
(屋宮秀美)