食料品など品薄に

熊本地震による物流の影響で、奄美市内のスーパーでは日販品などが品薄となっている

医療への影響懸念も 交通網寸断、物流に波及
熊本地震

 熊本県を中心とする断続的な地震は、奄美にも影響を与えている。被災地では地震により、高速道路や一般道路が交通規制となり、空港も閉鎖が続き、復旧の見通しが立たない状況。これにより、奄美と被災地などを結ぶ物流が一部でストップしており、被災地への配送が中止されているほか、奄美のスーパーなどでは品薄の商品も目立つ。被災地の交通網寸断が長期化すれば、島民生活にも様々な影響が懸念される。

 九州自動車道では地震により、「植木IC―八代IC」、大分道「玖珠IC―別府IC」などで全面通行止めが続いている。一般道でも陥没や隆起などにより、被災者へ支援物資などが行き渡りにくい状況が続いている。

 ヤマト運輸では、熊本行きの全ての荷受けを一時的に中止。宮崎、鹿児島両県では遅配が発生している。熊本県全域の荷受けを一時中止していた佐川急便は18日、熊本県上益城郡、阿蘇市など県内一部を除き、集荷・配達を再開。大分、鹿児島など、近隣県を遅配地域として指定している。

 被災地の交通網寸断は民間の物流関係だけでなく、奄美のスーパーが本土から入荷している生鮮食料品などに影響が出ている。奄美市内の各小売店では、パンや納豆、牛乳など日販品を中心に品薄状態が目立った。また、各店舗の在庫状況に応じて、ドレッシングなど加工品についても一部で売り切れとなっていた。

 同市内のあるスーパーでは、17日から入荷できない商品があったという。同店の30代男性店長は、「地震発生当初はここまで影響が広がると思っていなかった。品薄による売り上げ低下が心配だが、入荷がない以上仕方がない」と説明。「本土の道路復旧が遅れれば、今は影響がない商品も売り切れになってしまう可能性もある。本土から入荷できない商品については、地元商品に切り替えるなどして対応したい」と述べた。

 買い物に訪れていた同市名瀬の安永裕美さん(42)は、「一部商品の売り切れは不便だが、被災地のことを考えると納得しなければ。早く道路が復旧して物流への影響がなくなってほしい」と話した。

 九州各県で使用される輸血用血液製剤は、献血で採取した血液を福岡県久留米市の九州ブロック血液センターに集めて製造され、各県に配分されている。現在、熊本県では献血を実施できず、管内全体ではA、AB型が不足気味となっている。

 名瀬保健所は奄美での輸血用血液について、「輸血用血液は各ブロック間で調整するため、現状すぐに不足するとは想定しにくい」と強調。一方で、血液の他医薬品なども陸路輸送が中心なことから、道路復旧の長期化による医療への影響を懸念した。