「被災者の感謝 力に」

被災地での活動報告を行う原船長=写真右=と熊本県出身の隊員3人

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被災者へ給水支援を行う隊員ら=17日、熊本港=(提供写真)

巡視船「あまぎ」入浴、給水など支援活動
熊本地震

 熊本地震を受け、熊本県宇城市の三角港、熊本市の熊本港で支援活動を行った奄美海上保安部所属の巡視船「あまぎ」(原敦船長、隊員30人)が27日、補給のため帰還し、報道機関に対して活動内容を報告した。原船長(57)は「支援活動中にも余震があるなか、日が経つごと変化する被災者ニーズにも、被災者の感謝の言葉をエネルギーに変えて支援できた」と振り返り、「災害時に公助が被災者に行き届くには時間がかかる。事前の備えなど自助が重要」と訴えた。

 海上保安庁では「前震」が発生した14日から、被害状況調査を行い、順次被災者への支援活動を実施。同船も「本震」があった16日に三角港、17~26日は熊本港で午前8時から午後6時半まで、給水や入浴、物資運搬などの支援活動を行った。

 この間、入浴は約5千人、給水約170㌧(26日現在)の支援活動を実施。原船長によると、到着当初は給水をメーンに行い、18日頃から被災者ニーズは入浴が中心となり、同船のシャワー室3室を開放。全体では1日平均6~700人が利用したという。ライフラインの復旧もあり、25日以降、入浴利用者が300人前後に落ち着き、熊本港で支援を行う巡視船も4隻から2隻となったが、現在も支援活動は続いている。

 同港では地震の影響で、岸壁に亀裂や段差も見られ、下から突き上げるような揺れの余震もあるなかで支援活動。同県出身の機関士補・福島大樹さん(20)、同・山﨑裕志さん(19)、航海士補・山下真奈美さん(22)も支援活動に従事した。

 古里の大地震発生に福島さんは、「最初は支援を求める被災者が予想より多く、入浴を待たせたりなど反省点があった」。支援活動中に熊本市で一人暮らしする姉と再会した山下さんは、「被災で恐怖を味わった姉が、私の顔を見て安心してくれたのが印象的だった」。山﨑さんは「被災者から感謝の気持ちをいただき、元気をもらって支援活動を頑張ることができた。この仕事を選んでよかったと思えた瞬間だった」とそれぞれ話した。

 原船長は周囲を海に囲まれる奄美で大規模災害が発生した場合、公助支援には時間がかかることを指摘。「今回の地震でも準備の必要性を理解しながら、備えをしていない被災者が多かった。自助が一番大切になってくる」と述べた。

 奄美海保によると、今後の状況に応じて派遣要請があれば、被災地で支援活動を行う方針。