大和村から移動検査スタート

段ボール箱など梱包の資材を確認し、合格証書が手渡された

資材とほ場位置確認 楽観せず防除継続

 門司植物防疫所名瀬支所は9日から、島外出荷に向けた移動検査をスタートした。初日は大和村の各集落公民館で行われ、事前に申請していた118人が受検。同村産業振興課は「タンカンは廃棄となってしまったが、スモモは何とかなりそう。変わらず防除を続け、無事に出荷できるようにしたい」と語った。

 移動検査は大和村を皮切りに、奄美大島5市町村で実施を予定。大和村は10集落の各公民館で行われた。検査では、段ボール箱や袋など出荷の際に使用する資材を同支所職員が確認。それぞれのほ場の位置も地図で確認され、申請者は合格証明書(ラベル)を受け取った。

 同村国直集落の検査には7人が参加。役場職員がラベルの貼り方や出荷方法などをあらためて説明し、「現状では空気穴が開いた状態でも大丈夫。しかし、今後誘殺が見つかった場合、その地域によっては穴を塞ぐ必要があるから気を付けて」などと呼びかけた。

 同集落のスモモ農家・晨原重光さん(63)は「ここ数年は(台風などの影響で)スモモが収穫できない年が続いた。今年は実も残っているので、このままミカンコミバエが出なければ、無事に市場に出したり、島外に住む親戚や子どもに送ることができる」と笑顔。「ミバエがこれ以上出ないと信じて申請した。どれくらい収穫できるかは分からないが、申請した100箱では足りなくなるくらい、収穫出来たら」と語った。

 同村産業振興課の仁添徳人課長補佐は「事務手続きなど、農家のみなさんには出荷のために苦労をかけている。ミバエに振り回されている状態だが、防除を進めて、何とか今の状況があり、スモモを出すことが出来そうでほっとしている。今後も防除を続けながら、無事に出荷できるようにしたい」と話した。

 農林水産省消費・安全局植物防疫課の島田和彦課長は「しばらく島外への出荷が出来なくなっていたことを考えると、今回は一つのターニングポイント。しかし、移動が可能なのは先月27日以降に収穫した果実。それ以前に収穫し、倉庫などで保管していたものについては対象外。皆さんには不便をかけているが、適切に対応してもらいたい」。一方で、「暖かくなると越冬していたメスが産卵する可能性がある。移動が出来るからと楽観せず、今後も注意が必要」とあらためて強調した。

 10日は奄美市名瀬の浜里集会場(午前9時から午後4時)で移動検査が行われる。