「徳之島ダム」畑かん本格化へ

「徳之島ダム」畑かん通水の本格化に備え皮切りとなった「第一浅間」「第二同」両地区水利用組合設立総会=17日夜、天城町

徳之島用水土地改良区 水利用組合設立に着手

 【徳之島】国営かんがい排水事業徳之島用水地区の受益者組織、徳之島用水土地改良区(新納啓武理事長)は、国営付帯県営事業(畑かん設備施工)地区の天城町「第一浅間、第二同」両地区を皮切りに17日、水利用組合の設立に着手した。散水ルールの策定や散水器具の維持管理体制など本格通水への前提となるもの。今初年度は計7地区(天城町5、徳之島町2)での設立を予定。7月21日は「畑かん通水式」も計画している。

 1997年度に着工した同国営事業は、「徳之島ダム」(有効貯水量730万㌧)から同島全耕地の約半分に相当する3451㌶を対象に畑地かん営農を推進し、収益性の高い地域農業を実現する。14年度にダムの安全性を確認する湛水試験を行い、昨年5月からは水路(延長128㌔)の通水試験を実施(現進捗率約90%)。そして県営事業で受け継ぐ給水栓やスプリンクラーなど畑かん設備の施工は24(平成36)年度ごろの完了を目指す。水利用組合は計30~35組織を見込み、設立済み地区から順次本格通水となる。

 第1浅間地区(計画面積81㌶)、第2同(74・6㌶)両水利用組合の設立総会は、受益者や関係機関・団体など関係者約60人が参加し浅間公民館であった。土地改良区の新納理事長は「徳之島は、干ばつや台風による塩害など天候に左右されやすい。土地改良区と水利用組合が協力し、効率的な水利用で地域農業の安定を」と要請。

 組合規約など全議案を承認。各自が決められた曜日にローテーション散水(施設園芸は原則随時)するルールや、各ほ場内のスプリンクラーなど散水器具や給水栓は組合員で管理。工事負担金は10㌃当たり約7千円(1回のみ)。経常賦課金(年間)は普通畑5千円、施設畑7千円(今年度は通水試験中のため賦課金なし)とすることなどを確認。組合長には浅間第1地区が玉江昌射さん、同第2には上岡弘明さんを選んだ。

 ほか、県徳之島事務所農業普及課側が「水利用効果」で講話。畑かん営農の県内先進地事例や徳之島での効果事例(干ばつ・潮風害の回避・低減、適期管理・計画作付け、生育量増・品質向上など)も挙げ、「力を合わせて天候頼みの不安定な農業から脱却を」と呼びかけた。

 今年度の水利用組合設立はほかに、7月の畑かん通水式会場となる「第1大和城地区」(天城)や「第1松原1期・2期地区」(以上天城町)、「南原地区」「第2尾母1期・2期地区」(徳之島町)を計画している。