大島、3回戦へ

【2回戦・鶴翔―大島】4回裏大島二死二塁、8番・濱田が右前適時打を放ち4―1とする=鴨池市民

与論はシード鹿屋中央にコールド負け
夏高校野球第5日

【鹿児島】第98回全国高校野球選手権鹿児島大会第5日は6日、鹿児島市の県立鴨池、鴨池市民の両球場で2回戦6試合があった。

奄美勢は、第6シード大島が鶴翔を5―1で下して3回戦に勝ち進んだ。第7シード鹿屋中央と対戦した与論は五回コールド負けだった。

第6日は7日、両球場で2回戦6試合がある。奄美勢は古仁屋が川辺と対戦する。

試合結果は次の通り
 
◇2回戦
  =鴨池市民=
鶴翔
000100000 1
20030000X 5
大島

【鶴】新町、小林―津田
【大】渡―上原
 ▽二塁打 渡(大)

【評】大島は初回に敵失と5番・太月の中前適時打で2点を先取。四回に3連打で1点を返されなおもピンチが続いたが、好守でしのいだ。その裏、7番・武田健の犠飛、8番・濱田、9番・渡の連続適時打、下位打線がつながって3点を加えて突き放した。五回以降は相手の2番手投手を攻略できず、追加点が奪えなかったが、エース渡を中心に粘り強く守って、相手にも追加点を許さなかった。

◇同=同=

与論
00000 0
0137X 11
鹿屋中央
(5回コールド)
【与】有村、吉田、有村―瀧
【鹿】横井―永田、森
 ▽二塁打 永田、福永、横井(鹿)▽三塁打 深迫、馬込(鹿)

【評】与論は一回裏無死一二塁とピンチだったが、先発の有村を中心に粘り強く守って後続を絶ち、無失点で切り抜けた。二回に暴投で先制点を与えたが、その1点で踏みとどまった。三回二死までは踏みとどまったが、そこから鹿屋中央打線が爆発。四回は3本の長打を含む6安打を集中され7点を失った。打線は一―三回に走者を出し二塁までは進めるもつながらず、本塁が遠かった。

与論・沖園洋一監督 守備のチームだったので無失策でいきたかったが、強豪校のプレッシャーの前では難しかった。三回途中までは競った試合ができた。やれることをちゃんとやれば、自分たちでもやれると短い時間でも思えたことが良い経験になった。

取れるアウトを確実に 地区大会の反省生かす

【2回戦・鶴翔―大島】4回裏大島二死一塁、9番・渡の二塁打で一走・濱田が生還、5―1とする=鴨池市民

夏の初戦独特の硬さも感じられたが、大島がシード校らしい勝負強さを発揮し、初戦を無難に勝ち切った。

エース渡の調子が今一つだった中で、序盤は「守備から流れを作る」(大山竜生主将)チームの持ち味が出た。2点を先制した直後の二回表、先頭の4番・萩元に一塁線を抜かれる。長打コースだったが、追いついた右翼手・國分祐希は「中継プレーの練習は毎日していた」。カットに入った二塁手・武田健志も「普通は外野の肩を考えて止まることが多いけど、走ってくれて逆にラッキーだった」。見事な中継プレーで二塁アウトをとった。

5番・田島にもヒットでつながれたが、6番・新町の二遊間の当たりを武田健が追いつき、遊撃手・大山へグラブトス。曲芸のような4―6―3併殺を成功させた。三回も先頭打者を出したが、渡が送りバントの小フライを、ワンバウンドさせる頭脳的なプレーで併殺を取った。

四回には連打を浴び、無死一三塁のピンチに、渡邉恵尋監督は伝令を送る。指示は「無死一塁のつもりで守る」。4番・萩元に右前に運ばれて1点は失ったが、「自分のところに打球がきたら三塁で刺すイメージができていた」國分が三塁に送球して一走を刺した。なおも一塁に残っていた走者は、捕手・上原がけん制球で刺し、追加点を許さなかった。

「地区大会の反省が生きている」と渡邉監督。6月の大島地区大会決勝では、無理をして先の塁でアウトを取ろうとしてピンチを広げ、沖永良部に敗れた。「打たれたり、ミスがあっても引きずらずに、取れるアウトを確実に取る」(渡邉監督)意識を徹底した成果を、大事な夏の初戦で出すことができた。(政純一郎)

負けて「悔しい」 野球は「楽しい」

与論・町平晃基遊撃手

一回裏二死二三塁、ピンチの場面。三遊間の深いところに打球がきた。何とか追いついて、一度落としたが、拾い直して一か八かの一塁送球。緊張して力が入り、ワンバウンドしたが「1年生の(竹内)龍汰がよく捕ってくれた」。強豪・鹿屋中央が相手ということで、自分もチームも硬さがあったが、初回をゼロで切り抜けたことで「自分たちでもやれる!」と盛り上がることができた。

二回に暴投で先制点を献上し、なお一死三塁のピンチでタイムがかかり、伝令が来た。興奮していたので「何を言われたか、覚えていない」。だが「ミスを引きずらず、1つ1つアウトを取っていこう」と落ち着くことができた。直後に遊ゴロ。三走が本塁に走ったのをちゃんと見て、慌てずにバックホームしてアウトを取ることができた。直後の三回の打席ではチーム唯一の安打を放つ。「1本でもいいから打ちたかった」と内角直球を迷わず振り抜いた。

三回途中からは、相手のプレッシャーの前に失点が続くのを食い止めることができなかった。今までもここぞという場面で粘れないことが課題だったが、克服できなかった。五回コールド負け、わずか1時間18分で終わった夏は「悔しい」以外の感想はない。

野球を始めたのは小学1年から。「チームプレーができるのが、一番楽しい」。良いプレーが出れば仲間が盛り上がってくれるし、仲間の良いプレーで自分も盛り上がることができる。この試合でも序盤はそんなチームの「一体感」が感じられた時間帯は「楽しかった」。

3年間、9人ギリギリのチームで出続けたが、県大会で1度も勝てなかった。悔しい。でも野球の「楽しさ」は変わらない。だから大学に進学して野球を続けるつもりだ。(政純一郎)