透明度髙く「魅力的場所」

浮き桟橋の設置が予定されている場所。いったん船を止めて説明する場面も

現在、多くの業者が利用するという北側にある海岸の一つ

芦徳集落北側海岸線 地元関係者ら現地視察
クルーズ船就航問題

龍郷町芦徳集落で計画されているクルーズ船就航問題について5日、希望した地元住民らによる2回目の現地視察が行われた。「龍郷湾を守る会」(西元則吉会長)の有志が船を出し、計画案が出されている同集落の北側の海岸線を巡り、周辺環境を確認。現地では、海水浴やマリンレジャーを楽しむ観光客の姿も多く見られた。

今回は以前実施した地元婦人会のメンバーによる視察に参加できなかった住民や、問題を知り、実際に現場を確認してみたいと参加したメンバーなどで行われた。天候も良く、砂浜を歩いたり、海に潜って周辺環境を確認する姿も見られた。

船を出した西元会長は「現在は10業者ほどが利用する浜だが、実は奄美の人でもこの浜に来た人はほとんどいない。私の案内する客のほとんどは、午前中だけと予約していた人が『やっぱり午後まで延長したい』と望むほど魅力的な場所。結局、一日中海岸にいる人が多い」と語る。

湾内ということもあり、離岸流も発生せず、シーズンによってはイルカや、運が良ければウミガメも回遊してくるという同地。水深5㍍の場所でも海底が見えるほど透明度も高い海となっている。

視察に参加した妹が同町赤尾木在住の吉本かつらさん(57)=米国ニューヨーク在住=は「奄美はこれまで何度も来ている場所。今回の話は最初に電話で聞いて驚いていた。もし、自然が侵されることがあればあっという間に環境は悪くなってしまう。現地を見て改めて、これだけきれいな海が、開発されるべきではないと思った。確かにクルーズ船の観光が人気なのは事実。でも、クルーズ船の寄港地や観光地という印象を奄美に持たせることで、今、奄美を気に入っている人は離れていくのでは」と語った。

同会のメンバーでもある川口ツヨ子さん(65)=赤尾木=は「現場に来たのは初めて。赤尾木にとっても真正面に大きな船が来るということ。前回の視察は参加できなかったので、改めて参加したかった。現場はとてもきれいな場所で、今回はドイツからのお客さんと一緒に来たが、みなさん喜んでくれるような場所だった」と話した。

西元会長は「中国人が来ることが嫌と言っているわけではない。ただ、説明された通り、大勢の人が来島するとなると、訪れた人は誰でも『もっといたい』と思うほどの奄美のゆったりした自然を感じることができるこの場所は無くなる。そうなると私たちの仕事は成り立たなくなるので、反対している」と語った。

同会では今後も現地視察を望む人に対しては、時間の都合がつく限りは対応したいとしている。