「町として推進できない」

町長室で行われた同町と奄美漁協役員の意見交換会

奄美漁協と意見交換 徳田龍郷町長示す
大型クルーズ船問題

 龍郷町は19日、奄美漁業協同組合(柊田謙夫代表理事組合長)と同町芦徳集落などで計画されている大型クルーズ拠点整備計画に関する説明を兼ねた意見交換会を開いた。同漁協役員と徳田康光町長などのほか担当課長らが参加し、同漁協では役員全員の総意として反対の意思を表明。徳田町長も自ら行った町民からの意見聴取や、今回の漁協役員の判断から、「町として推進できない」との方針を示した。

 会は同漁協が1日に提出した申出書に基づいて実施。同漁協は、町との意見交換会前に役員会を開き、意見交換会で理事・監事9人の総意として▽開発予定地は一本釣り漁業・モズク養殖・潜水器漁業・建網・素潜り漁業・ダイビングやシーカヤックなど多くの組合員が利用している▽会社側(ロイヤル・カリビアン社)の不適切な説明▽反対を希望する組合員が多い―などを記した反対理由書を徳田町長に提出した。

 柊田組合長は「奄美漁協への説明会が開かれるのはきょう(19日)が初めて。そのため、役員会では、6月28日の町民説明会で配られた資料を基に方針を決めた」とした。計画地は龍郷と笠利の共同漁業権となる地域であり、関係組合員(龍郷・笠利)は正・准会員合わせて699人。1日に提出した申出書ではロイヤル・カリビアン社による関係組合員への説明会開催も求めているが、いまのところ開催の予定はないとし、同漁協では「関係組合員だけで699人もいる。役員として反対の意見は示したが、組合員として意見をまとめるかどうかは、これからの流れの中で判断していきたい」とした。

 6月の住民説明会では個人の意向として推進を示していた徳田町長は「当初は国や県も支援すると聞き、私のもとにも賛成する住民の声ばかりが届いていた。説明会後、自分の足で芦徳の住民やダイビング組合、観光業者、漁協など、みなさんから話を聞くようにした。また、役場職員も外国人観光地のリサーチも行った」と説明。「住民からは予想以上の反対意見があり、また今回、漁協も反対の意思を示したことから龍郷町として合意形成は無理であると判断し、推進はできないと考えた。ロイヤル・カリビアン社の地元関係者を通じて、町の判断を伝える予定」と語った。