クロウサギ事故発生

国の天然記念物に指定されているアマミノクロウサギ=資料写真=

クロウサギ事故発生
林道でのナイトツアー盛んな季節
「夜間の運転注意して」

 夏休みが始まり、本格的な観光シーズンが到来した。奄美大島や徳之島では国の特別天然記念物であるアマミノクロウサギを見るためのナイトツアーも盛んになる季節。奄美大島と徳之島では今月に入り、3件のアマミノクロウサギの死体が発見されている(21日現在)。うち、奄美大島と徳之島で見つかった2件は交通事故と判明しており、環境省では林道での運転について注意を呼びかけている。

 奄美大島では今月、瀬戸内町と奄美市住用町でそれぞれ1件発生。原因は不明となっているものの、ナイトツアーでよく利用されるスタルマタ線での発見や、舗装された林道上で見つかっているといい、交通事故やノイヌ・ノネコによる捕食の可能性が考えられるとしている。

 アマミノクロウサギの死体確認数は、奄美大島と徳之島合わせて30件(2016年1月1日~7月21日まで)。うち交通事故と断定できるものは11件(19件は不明)で、ほぼ毎月1~2件は発生している。大和村の奄美野生生物保護センターによると、奄美大島で最近事故の多い場所は、宇検村や瀬戸内町の県道85号線や奄美市住用町の三太郎峠付近が目立つほか、大和村フォレストポリス周辺でも確認されている。また、新しく分布が確認された場所でも交通事故は発生していることから、今まで事故がなかった場所での発生も懸念されるという。

 7月中旬にアマミノクロウサギの死体を確認した自然写真家の常田守さんは「夜間の林道では、観光客のレンタカーなど、普段は山で見かけない人たちの車を見るようになってきた。多い時には一晩で7台くらい見かけることがある」と指摘。「クロウサギの死体を見つけたときは正直、『またか』とショックだった」と語った。

 同センターではアマミノクロウサギ以外にもアマミトゲネズミやケナガネズミの死亡も確認されているとし、▽夜間の運転に注意してほしい▽ケガ・死亡している野生生物を見つけたらセンターに連絡してほしい―と呼びかけている。