ミカンコミバエの新たな侵入を早期に確実に発見していくため増設・再配置されているトラップ
農林水産省植物防疫所は、侵入警戒調査の対象となっている病害虫の発見状況(2015年9月以降)としてミカンコミバエ種群の誘殺状況をホームページで公開しているが、緊急防除が先月14日に解除された奄美大島(加計呂麻・請・与路島を含む)も引き続き対象になっている。平時は月2回のペースで更新、8月15日現在、新たな誘殺はない。ただし沖縄県では8月に入っても誘殺が確認されており、侵入への警戒が欠かせない。
侵入警戒調査での誘殺状況になる。同所によると、誘殺が確認されたところではいずれもトラップの増設等で状況を継続的に監視しており、公開しているのは▽鹿児島県における状況=奄美大島、奄美群島における奄美大島以外の地域、その他地域(屋久島)▽その他都道府県における状況=大阪府、沖縄県。
奄美大島の状況をみると、緊急防除時同様、奄美市・大和村・宇検村・瀬戸内町・龍郷町の5市町村別に週まとめされている。新たな誘殺はなく合計869匹(奄美市55、大和村58、宇検村49、瀬戸内町700、龍郷町7)のまま。こうした誘殺状況の平時の公開について同省消費・安全局植物防疫課の島田和彦課長は「沖縄県のように誘殺が確認された場合は、調査頻度を上げて、その調査結果を1週間に1回更新し公開していく。奄美大島では現在のところ新たな誘殺はないが、平時でも月2回(2週間に1回)は更新し、誘殺状況を公開していきたい」と説明する。
誘殺が1匹でも確認されると、1週間に1回更新し公開されるが、この公開方法に現在該当しているのが沖縄県。7月26~8月1日1匹(石垣市)、2~8日2匹(石垣市1、八重山郡竹富町同)、9~15日ゼロとなっている。沖縄での誘殺は、台湾やフィリピンなど南西諸島周辺発生国から、風に起因する「飛び込み」とみられ、予防防除により沖縄での発生を未然に防止している。
奄美大島での誘殺は昨年12月22日以降現在も確認されていないが、これから秋口にかけてグアバなど熟した果実にミカンコミバエが飛来し、メスが卵を産み付け、世代交代により発生を招く可能性がある。昨年も9月1日の週以降、誘殺数が増加。9月29~10月5日の週には63匹、10月の中旬以降の週は3桁台の誘殺数となった。
国や県などの関係機関は「これからが一番危ない時期。侵入による誘殺が確認された場合、島内での発生を再び繰り返すことがないよう、解除後も防除に取り組まなければならない」としている。なお、庭木などとして植栽されているグアバで、侵入確認などによりテックス板による防除が必要と判断されると、植防にテックス板が備蓄されていることから対応できる体制が整えられている。住民からの問い合わせ(テックス板設置)にも植防では応じている。侵入への警戒はトラップの配置で対応している。