元ちとせの優しく力強い歌声が響くと会場は静まりかえった
今年10周年を迎える中孝介の声に聴衆もうっとり
カサリンチュのヒューマンビートボックスと優しい歌声が会場を沸かせた
奄美の3組と楽しく絡んだ、いけめんヴァイオリニストのNAOTO
最後は六調全員で六調を踊り、会場が一つになった
【東京】「奄美音楽祭 2016」(主催=奄美音楽祭実行委員会)が20日、葛飾区のかつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホールで開催された。台風で荒れ模様の天気にもかかわらず、開場時間前から大勢の人が詰めかけ、満席に近い1000人余が来場、元ちとせ、中孝介、カサリンチュ、NAOTOの奏でる音楽で奄美の風を体感した。
奄美5市町村のDMO事業の一環である「あまみっけ。」をもっと浸透させ、奄美を広く知ってもらおうと開かれたもので、来年1月に予定されている「あまみっけ。フェスティバル~唄う島を感じる日~(仮称)」に向けたプレイベント。
カサリンチュの二人による新しくも懐かしい人間太鼓のメロディーにのって「島育ち」で幕が開いた。ステージ上には高倉も設置され、奄美を全面にアピールした。
まだ奄美を訪れたことがないという金髪いけめんヴァイオリニストで、NHKのスタジオパークからこんにちはのテーマ曲HIRUKAZE(ひるかぜ)を提供しているNAOTOさんから「奄美に行ったことがない人」と声がかかると、客席の70%の人が手を上げ、出身者以外の奄美ファンが大半を占めた。
今年メジャーデビュー10周年を迎える中孝介がしっとりと歌い上げ、元ちとせが力強い歌声で平和へのメッセージを歌いかけると、会場には涙をぬぐう姿も見られた。
幕間には「あまみっけ。」のビデオも流され、奄美を訪れたことがない人たちに、奄美を映像で伝えた。
最後は中孝介の三味線で元ちとせが六調を歌い、出演者と来場者が一つになって、奄美の祭りの締めを飾る六調で盛り上がった。
来場者の一人、奄美に深く関わってきた末岡三穂子さん(59)は、「なんだか懐かしい気分になりました。夜ネヤ島ンチュリスペクチュとも、奄美フェスティバルとも違う、新しいものを感じました。それぞれが違う個性で輝き、奄美出身という絆で結ばれて微笑ましかった。ちとせさんの歌には生きるたくましさを感じました」と話した。また、尚田宏俊さん(65・奄美出身)からは「こうして生で聴いたのは初めて。エネルギーをもらえた。できれば三味線のシマウタも、もう少し聴きたかった」。
また、奄美に昨年行き、奄美ファンになったという杉本文男さん(70)は、「奄美は手つかずの自然が最高です。歌も素晴らしかった」と満足げに話し、高校時代に奄美市笠利町の節田から奄美を離れて多摩ニュータウンに住む黒田照美さん(64)は「しばらく島に帰ってないので、楽しかったし、懐かしかった。孝介のテンネンはとてもいいですよね」と話した。
この企画の総合プロデューサー、麓憲吾あまみエフエムディ!ウェイヴ代表理事は「イメージ通りに島外の人たちにも奄美の風が十分に届けられた。NAOTOさんのゲストぶりは素晴らしい。今後もこの企画を続けていけるように頑張りたい」と、「あまみっけ。」の次の一手にも手応えを感じていた。
写真・屋宮秀美
(屋宮秀美、高田賢一、永二優子)
出演者のコメント
イベントの先陣を切ったカサリンチュの二人は「すごく手ごたえを感じました」と都会の意気込みを感じ取った様子。10月に初めて奄美入りするNAOTOさんは「きょうのイベントでは一人だけ島の人間ではないけど、よそものではない温かさを感じた」と舞台を楽しんでいた。
中孝介さんは「奄美の3組にNAOTOが楽しく絡んでくれました。まるで、シマで唄っているようで、とても満足しています。ちとせさんのおかげで、こうしてやっていけるのはすごいことで、10年はあっと言う間でした。これからも奄美の魅力を伝えていきます」と語った。
元ちとせさんは「こうして、奄美の愉快な仲間たちと奄美を広げていくことが出来ることが楽しい。きょうだいのようでもあり、いいライバル。これからもみんなでいろいろなところで歌い、奄美を伝えて行きます。そして平和がつながっていくことを願っています」と話した。