奄美市で大規模訓練

名瀬港観光バースで、孤立集落の支援訓練が行われた

防災・減災意識を向上
2500人参加

 2016年度の奄美市防災訓練が28日、市内一帯で一斉に行われた。大地震に伴う津波からの避難を想定した訓練に行政、各地区の自主防災組織など約2500人が参加。実践を通し、有事の際の行動を確認しながら、相次ぐ災害に備えた「防災・減災」意識の向上を図った。

 同訓練は、10年の奄美豪雨、11年の東日本大震災を契機に、11年度から毎年実施しており、今年が6回目。訓練は、28日午前9時に奄美大島近海(太平洋側)を震源としたマグニチュード8を超える巨大地震が発生し、奄美大島沿岸に大津波警報が発表されたという想定。

 警報発表に伴い、行政は防災無線などを使った市民への情報発信や、大島支庁、測候所、警察、海保、消防など関係機関との情報伝達訓練、さらに災害対策本部の設置訓練も実施した。

 各地域では、高台などへの一時避難を開始。近隣住民同士で声を掛け合ったり、歩行が多少困難な高齢者を支えたり、助け合いながら所定の場所へ駆け込んだ。その後、避難所の開設、炊き出し訓練などをそれぞれの地域で行った。

 名瀬長浜町の老人福祉会館を一時避難所に訓練を行った、立神自治会の福島英宣会長は「三つのルートからスムーズな避難ができたと思う。ほかのところも同様だと思うが、地区内は高齢者が多い。声の掛け合いがやはり重要になってくるだろう」と話した。

 また、同市名瀬港観光バースでは、名瀬知名瀬地区が陸路からの車両交通が途絶状態との想定で、海保船舶を使った孤立集落の支援訓練や、海保と消防合同による海中転落者救助訓練なども行われた。

 訓練を視察した朝山毅市長は「例年の訓練で徐々に市民にも、地震・津波に対し自ら守るという意識が浸透してきている。今後もさらに醸成を図っていきたい」と語った。