歌姫 城南海


花や自然豊かな群島と共に、日本中そして世界へと飛翔

「奇跡の歌姫」城南海が18日奄美観光ホテル孔雀の間で「ウタアシビ2016秋」に舞い降りる。なぜ彼女が、これほどまでに人々を魅了するのだろうか。徳光和夫、宮本亜門らの証言を基に素顔に迫る全6話。第1話は、徳之島町の高岡町長。

城を観光大使に任命した徳之島町の高岡町長

昭和から平成へと時代が移り変わった年末に城は、奄美に生を受けた。それから二十数年、故郷に恩返しをする形で、観光大使に任じられる。それは奄美のほか、徳之島、大和村、瀬戸内町と多くの地域に及んでいる。城は14歳から約1年間、徳之島の母親の実家で過ごした。多感な時期だけに、思い出は深い。徳之島の高岡秀規町長は、平成22年の〝どんどん祭り〟に城が出演した際、徳之島観光連盟の任命により観光大使を依頼。その頃は彼女に対し「唄が非常にうまく可憐な人」とのイメージを抱いていた。

一方、唄は「間(ま)であったり、感情をこめて歌ったりで、機械的な点数は低いのが当たり前」だと考えていたが、彼女に接して、その思いは激変する。「音程と感動と間、全て完璧で感動を与える唄を提供できる方だ」と。徳之島の澄み切った青空に、地元出身のきゅらむんがグインを駆使し、故郷の魅力をのどの振動を通じて伝えている。そんな光景を目の当たりにし〝観光大使をお願いして良かった〟と、高岡は興奮していた。「一番は人間性。庶民的な印象でした。華やかな世界にいると、知らない間に距離を感じてしまう関係もあります。でも、彼女にはそれはありませんでした。祭りでは、唄はもちろん、人としての〝華〟がありました」。

奄美の情熱を宿す城の面影に「何といっても、目鼻立ちは南国の顔。そして、素朴さがいい」と頼もしさを感じている。果たして、貢献度はどうなのか。「彼女の責任ではないのですが、徳之島での観光大使は活躍する環境を作りきれていません。行政側が、うまく活用できていない」と行政の長は、反省の弁を述べる。だからこそ、彼女の歌声に勇気をもらい「島がこうあってほしいとか、島人に提案をしてもらいたい」。町民にも期待を寄せているのだ。城と徳之島とは、どんな関係を築いていけばいいのだろうか。「都会の厳しい世界から解放されて、島に帰りたいと思えるような島を作りたい。そして、協力して島を世界に売り出したい」。彼女が観光大使を務める他の地域を代表するように語ってくれた。それは奄美から日本中、そして世界へ飛翔してほしい、城へのメッセージにほかならない。
 (高田賢一・文中敬称略)