ミバエ対応でマニュアル策定

新たに定められた「ミカンコミバエ種群誘殺時の対応マニュアル」についての説明会が開かれた

誘殺直後からの防除対策・情報公開など柱
門司植防、地元説明会

農林水産省門司植物防疫所はこのほど、「ミカンコミバエ種群誘殺時の対応マニュアル」を新たに定め、地元の生産者・関係機関に対する説明会を15日、奄美市名瀬の奄美会館で開いた。マニュアルでは誘殺確認直後からの地上防除や、最短で第4週目からの航空防除実施など、初動対応時からの迅速な防除対策が明示されたほか、初誘殺確認時における国・県・地元との連携体制整備や、ホームページでの概要公表など情報公開のあり方も示された。

説明会には門司植物防疫所の東正彦統括植物検疫官をはじめ、県食の安全推進課、大島支庁農林水産部職員らが出席。JAや生産者代表、名瀬中央青果、群島内市町村担当者らも参集した。

同マニュアルは、ミカンコミバエ種群が万が一国内にまん延した場合に重大な損害を与えるおそれがあるため、飛来・侵入の可能性が特に高い鹿児島県大隅諸島以南におけるミバエの誘殺時に講じるべき措置を定めたもの。

マニュアルにおける「誘殺が継続する場合の防除対策の流れ」では、誘殺の初確認後、確認地点から5㌔圏内にトラップを増設し、週2回の調査。地上防除として備蓄分のテックス板の設置。また航空防除の実施に向け、想定される散布範囲の検討(植防)や、航空会社への根回しも即座に行うことなど定めた。

さらに第2週目の調査結果でも複数地点で誘殺が確認されたり、誘殺数が前週と同数以上に増えた場合には必要な手続きを経て、最短で第4週目から、より効果が高い航空防除が実施される。マニュアル策定以前と比べて地上防除、航空防除ともに実施までの期間がかなり短縮されるという。

寄主果実の対応については誘殺確認時から確認地点周辺の果実除去・調査と並行し、地元住民にも情報を提供するとともに不要な果実等の自主的な除去も呼び掛けていく。

平時における侵入警戒調査用トラップも奄美大島で176基など、従前より約1・7倍に設置数を増やすとともに、各植物防疫所におけるテックス板等の備蓄も進める。さらに一般住民等への情報提供については誘殺が確認された場合、これに関する情報の概要をホームページ上で公表することなども定めた。

このほか説明会では同マニュアルを補完する「大島地域におけるミカンコミバエ種群防疫対応マニュアル」の素案も紹介。新たな体制として地元市町村やJA、生産者代表など幅広い関係機関で構成する「大島地域ミカンコミバエ防除対策連絡会」と、行政機関のみで構成するミカンコミバエ現地対策会議が連携・情報共有を図るなど、防除体制の見直しなどが示された。

ミカンコミバエ種群は昨年に奄美大島で再発生し、同年12月から緊急防除が開始され、今年7月に根絶を確認し、緊急防除が解除された。

門司植防の東統括植物検疫官は「緊急防除の解除までの間、生産者のみならず、広くみなさまに影響があった。昨年から農水省で開催してきた防除対策検討会議においてや、地元からも『マニュアルを作った方がいい』といった意見を踏まえ、今回、新たに策定した」と述べ、今後、同マニュアルに沿った対応など協力を呼びかけた。

参加したJAあまみ大島事業本部果樹部会の岡山俊一会長は「マニュアルを策定していただいたことに感謝。今のところは(このマニュアルの内容で)十分ではないかと思っている」などと述べた。