喜界島で販売が始まった「喜界島の島そら豆しょうゆ」。販売中は500ミリリットルの大瓶(左)のみ
喜界町農産物加工センターで8月16日から販売がスタートした「喜界島の島そら豆しょうゆ」。喜界島で採れた在来のソラマメと塩だけで作られたこのしょう油は、企画から販売まで約3年という月日をかけたこだわりの一品。同センターでは「ソラマメは島の先祖が大事に守ってきた素材。島の特産品としてソラマメと合わせてPRしていきたい」としている。
このしょう油作りはもともと、喜界島の「新しい特産品」を作ろうとの思いでスタートしたもの。特産品の素材として明治初期から栽培記録のあったソラマメに注目したという。
同センター主査の輝政和さんは「喜界島でソラマメといえば食用というより、畑の土づくりのために植えられることが多い」と説明。その理由として「品種改良された本土のものより実が小さく皮も硬い」と指摘する。一方で、在来なのであまり手を掛けずに栽培できることや、食物繊維、ビタミンなどが豊富という特徴も挙げた。
ソラマメしょう油は、小豆島の㈱高橋商店が専門で製造していることから同店に依頼。2014年11月から本格的な製造をスタートした。このしょう油の特徴は、通常ならしょう油作りに欠かせない小麦や大豆といったアレルギー表示品目を一切使用していないこと。また、農薬や添加物も使用しておらず、商品も同店と同センターで二重の成分チェックを行っているという。
「ソラマメと塩だけて作られたしょう油なので、島で好まれるしょう油よりは辛いと感じるはず。でも、後味はさっぱりとしていて豆の風味も感じる。県外の人からはフルーティーという感想ももらった」と輝さん。刺身や焼肉のたれとして食べるのもお勧めという。
現在は島内でのみ販売中だが、今後、島外での販売も計画中。輝さんは「しょう油の原料となる乾燥ソラマメ自体、国内では作っているところがないので、基本的には輸入するしかないもの。しょう油を皮切りに、喜界島の在来ソラマメという素材にも注目してほしい。先祖が残してきたものを喜界島の特産品としてPRしていけたら」と語った。