「新鮮な食材が魅力」

奄美市笠利町の打田原集落を訪れ、「ナリガイ」など島料理を食べるなど、食文化について調査した(写真右前がナンシーさん)

書籍本の調査で来島
料理研究家ナンシーさん 打田原集落で交流

米国出身で、料理研究家の八須ナンシーさんがこのほど、島の伝統文化や食文化の調査のために来島した。4日は、奄美市笠利町の打田原集落(和田昭穂区長、60人)を訪れ、打田原交流館で、地元の人らが作った「ナリガイ」(ソテツの実で作った粥)、「ワンフネ」(豚骨)など島料理を一緒に食べながら交流を深めた。

ナンシーさんはカリフォルニア州の出身、1988年に来日し、埼玉県で農家を営む男性と結婚。素材を生かした和食に感銘を受け、日本の食文化を伝える活動などを行っている。

ナンシーさんは料理本なども出版しており、「JAPANESE FARM FOOD」は2014年の「グルマン世界料理本大賞」翻訳部門で大賞を受賞した。テレビ番組の取材のために奄美は昨年も訪れており、その際にはナリ味噌や、ミキなどを取り上げたという。

同日は、地元の人に助っ人も加わり、全11種の料理を準備。ナンシーさんはそれを味わいながら、関係者から実際にレシピなども学んだ。ナンシーさんは「昔の人が貴重な食材として、ソテツの実を食べていた話に感動した。奄美の料理は食材が新鮮なことが魅力だと思う。ほかにもたくさんある島の魅力を伝えていきたい」と話した。

和田区長は「ソテツは先人の命をつないできた。集落の宝、島の宝として素晴らしさをさらに伝えていきたい。ソテツの粉は様々な料理にも活用できる」と語った。

このほか、滞在中に大島紬の泥染めの見学なども行い、伝統文化についても調査。これらをまとめ、2018年に書籍の出版を目指すという。