奄美大島の行動計画や自然利用、公共事業などについて意見を交わした
奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島世界自然遺産候補地地域連絡会議の奄美大島部会と、同候補地保全活用検討会の第1回自然利用部会と公共事業部会が14日、奄美市名瀬の奄美会館であった。沖縄の2地域に続き、14日付で奄美大島部会が設立され、推薦書の添付書類の一つとなる地域行動計画案をおおむね了承。徳之島部会は15日の午後3時から行われる。
地域連絡会議の下につく各部会は、地域との連絡調整や合意形成の場として、奄美大島、徳之島、沖縄島北部(やんばる)、西表島にそれぞれ設置するもの。沖縄の2地域ではすでに設置が済んでおり、それぞれの行動計画案の了承も終えているという。
奄美大島の行動計画案では、▽保護制度の適切な運用▽希少種の保護・増殖▽外来生物による影響の排除・軽減▽緩衝地帯や周辺地域における産業との調和▽適正利用とエコツーリズ
▽地域社会の参加・協働による保全管理―の6項目31事業を計画。そのうち、特徴的な事業は5市町村で構成する奄美大島自然保護協議会による生物多様性地域戦略の運用や島内からの完全排除を目指すマングース対策などとなっている。同計画は管理計画とともに2月に提出する推薦書に添付される。
続いて行われた自然利用部会では、奄美世界自然遺産トレイルの事業中間報告と、奄美大島と徳之島の自然の適正利用推進のためのルール作りについて、課題や先進地の事例などを県が説明。トレイルについては、コース選定を行っている住用町・伊仙町・和泊町・知名町の4地域で、2017年度にマップの印刷や開通イベントを実施する計画を報告。21年度までに12市町村での全線開通を目標とした。
また、適正利用については車両数の規制やガイド同行の義務付けなど現状の課題に対する対策を提案。17年度に金作原で実証実験などを実施するなどとしている。
公共事業部会では、奄美市と宇検村の公共事業で行われた試行調査の結果を報告。それによって確認された課題などに対し、アドバイザーによる現地確認や発注者と請負業者の両方がチェックシートを使うなどいくつかの対応が必要としている。
参加者との意見交換では、過去の公共事業によって発生した外来種(シロノセンダングサなど)がまん延していることを例に、「工事が終わった後、外来種が入り込んでいないか、経過を確認してほしい」と臨む声も。また、現在発生している外来種についても、時間をかけてでも駆除していくべきと訴えた。