ルリカケス野生復帰

勢いよく箱の中から飛び出し、野生に戻ったルリカケス

民家のネズミ捕りかかり保護
大和村湯湾釜「元気になりよかった」

大和村湯湾釜集落の民家でネズミ捕りにかかって保護されたルリカケスが15日、治療を終えて無事に放鳥された。なかなか野生復帰が難しいとされる野鳥などの野生の生き物。元気に野生復帰する姿を見届けた発見者の東條豊勝さんは「元気になってよかった」と笑顔を見せた。

ルリカケスは国の天然記念物で、奄美大島・加計呂麻島・請島のみに生息。県のシンボルとして県の鳥にも指定されている。

今回保護されたルリカケスは、東條さんが自宅の屋根の下に設置していたネズミ捕りにかかってしまった個体。普段からネズミが駆け回るため、対策として設置していたが、ルリカケスがかかったのは初めてのこと。13日の午前中、「ギャー」という鳴き声に気付いた東條さんが駆け付け、地面に落ちていた同個体を発見したという。

そのままではノラネコ被害に遭うのではと保護し、同村にある環境省奄美野生生物保護センターに連絡。ゆいの島どうぶつ病院の伊藤圭子獣医師へ引き渡した。

保護されたのはメスの個体で、当初は粘着物で全身がどろどろの状態。数回にわたって洗浄し、15日朝に捕獲場所での放鳥となった。

伊藤獣医師は「これまで、小さい個体だと(治療などに対して)体力が持たないことがほとんどだった。今回は体力のある個体だったのでよかった。早く対応できたら、助かることもある」と説明。同センターアクティブ・レンジャーの木元侑菜さんは「ネズミ捕りなどにかかることは珍しくないとされている。特にルリカケスは人間の身近に暮らしている種。もし見つけたときは、見つけた状態のままで動物病院に運んで獣医に見てもらってほしい。また、困ったらいつでもセンターに連絡いただけたら」と語った。

東條さんは「家の周りにはルリカケスが多く、つがいなどもよく見かける。こんな風にネズミ捕りにかかったのは初めてだったが、きれいになって無事に飛んでくれたのでうれしい」と話した。