徳之島でも運航前訓練

救急車で搬送された傷病者をドクターヘリに乗せる訓練をする救急隊員ら=22日午前、徳之島町

「通信・情報連携が重要」
奄美ドクターヘリ

【徳之島】12月27日に運用開始予定の県「奄美ドクターヘリ」(奄美群島・十島村対象)の運航前訓練が22日、徳之島町救急ヘリポートと天城町北中学校グラウンドの2カ所でもあった。農機事故と交通事故の傷病者を想定。奄美市名瀬の県立大島病院救命センターの医師2人と看護師が搭乗したドクターヘリと、徳之島地区消防組合救急隊との通信や搬送手順など相互連携体制を確認した。

運航前訓練は、関係機関への事前説明会を経て今月11日、龍郷町と旧住用村の各場外離着陸場を皮切りに開始。28日まで群島の計16ポイントで予定。22日の徳之島2町は10、11番目。徳之島町救急ヘリポートには約20分でドクターヘリが飛来。訓練要領に沿って訓練を繰り広げた。 

訓練搭乗した県立大島病院救命救急センター長の服部淳一医師(48)は「奄美ドクヘリの運航範囲は日本一広い。オール奄美で各島の現場から(大島病院)救急救命センターに繋がないとうまくいかない。訓練はどこもスムーズに進んでいる」。特に重要なポイントは「傷病者(程度や状態など)の情報の連携」。ドクヘリは通常は1県単位で半径50㌔~100㌔程度以内だが「奄美の場合は沖縄県への搬送も考えられ、情報の欠落は傷病者にとっては命取りに。訓練も、現場からドクターヘリスタッフ、病院を含めた情報共有をメインにしている」。

同充実への一環で、インターネット無線LAN中継で傷病者の状況を救命センターに送る情報通信システム(IT無線)の試験も並行している。12月27日運航開始に向け「これを起爆剤に大島病院が中核となり、群島の人々とともに群島を支えていこうとの団結力が高まっている」と服部医師。

徳之島地区消防組合救急救命士の西松寛さん(34)も「ドクターヘリは時間が凝縮されてくるため、救急隊から医師ら医療スタッフに対して、傷病者の状況などの情報提供をいかに簡潔に多く提供するかが重要と感じた。ヘリへの傷病者さんの受け渡しは、実地訓練で感覚がつかめた」と話していた。

伊仙町は24日午前に阿三ヘリポートで行われる。