伝統の石段前で「復帰の日の集い」

名瀬小校庭・伝統の石段の前で行われた「日本復帰の集い」。市内から大勢の児童生徒が参加した(写真は万歳三唱)

後世に語り継ぐ刻む
児童生徒も参加「断食悲願の詩」朗読

 奄美群島が日本復帰して63年目を迎えた25日、奄美市名瀬の名瀬小学校校庭で「日本復帰記念の日の集い」(同市主催)があった。復帰運動が行われた石段の前に行政関係者や市内の児童生徒、地域住民ら約500人が参加。復帰を成し遂げた先人の努力に思いを馳せるとともに、復帰運動を後世に語り継ぐことを改めて心に刻んだ。

 同集会は2014年までは名瀬のおがみ山頂上にある復帰記念広場で実施してきたが、15年は雨天のため名瀬小体育館で、また今年からは参加を希望する市民の体力面の負担軽減など考慮し、復帰運動が行われた名瀬小校庭・伝統の石段の前へ実施場所を変更した。

 司会は金久中学校の加世田元君(中2)と西形みさきさん(中1)。石段には復帰運動を振り返る当時の写真パネルが並べられたほか、復帰の日に泉芳朗氏が演説の際、用いた円形テーブルも使用された。

 日本復帰の歌斉唱の後、朝山毅市長が「奄美の先人の復帰に対する大きなエネルギーと血のにじむような努力があったからこそ今の奄美の発展した姿と平和で安全な暮らしにつながっていることを忘れてはならない。これからも奄美の先人たちを誇りに、そして今の時代を生きるみなさま一人ひとりとともに、さらに誇りと愛着の持てる奄美市を拓く意味で、全力で取り組んでいきたい」とあいさつ。

 続く「子どもたちに伝える話」では東京都の島岡稔さん(75)が講話。名瀬小6年生だった当時、日本復帰を前に東京都の中村小学校の児童ら「少年使節団」を迎えた思い出や、島岡さんが発起人となって進行中の同小に奄美のソテツを届け、植樹する企画など取り組みも紹介した。

 その後、名瀬小6年生が石段の上に立ち、参加者全員で「断食悲願の詩」を朗読。感想発表した金久中2年の樋口昌孝君は、「私たちの住む奄美の歴史を受け継ぐためには、今まで学習した平和について学んだことを生かし、一人ひとり考えることが大事と思う。そして自分から考えたことを実行し、今私たちがどんなに幸せかということを伝えていかなければならない。これからも泉芳朗さんをはじめとする(当時の)奄美の人々、そしてこれまで復帰記念集会を引き継いでこられた方々の気持ちを胸に、引き継いでいきましょう」などと呼びかけた。

 最後は全員で「朝はあけたり」を歌い、万歳三唱で締めくくった。