中国の水墨画作家、父娘三人展

築地俊造さんの島唄をバックに、奄美のモチーフを交えながら描かれた親子の共作

一村美術館で
奄美モチーフにライブペインティング

 「曽令富・曽勤・曽黎父娘三人展―奄美の自然を描く―」(日中現代墨画会主催)が25日、奄美市笠利町の県奄美パーク田中一村記念美術館企画展示室で始まった。オープニングイベントではフロアトークやライブペインティング、水墨画無料体験もあり、多くの人が訪れ、美しい水墨画の世界を楽しんだ。

 展示会では「奄美の自然」をテーマに新たに描いた作品や、写真を基に描いた田中一村の肖像画、作品集などにも掲載したこれまでの作品など約40点を展示。宮崎緑館長は「この素晴らしい親子の展覧会が実現できることがうれしい。中国はかつてシルクロードを通じて壮大な交流をしていた。今回の展示会はそのシルクロードの現代版のよう」などとあいさつした。

 父親の曽令富さんは中国重慶市生まれ。心代表的な作風は象浪漫水墨画で、人物画を得意とし、主な作品は、中国伝統文化題材を取り入れた「唐宮楽伎」、「仕女飛天」や「鐘馗」、「李白」などで、国内外で開催された著名な美術展覧会で多くの賞を受賞している。また、娘の勤さん、黎さんもそれぞれ各地で活躍しており、奄美へは昨年8月の初来島以来、たびたび来島しているという。

 「一村が見たくて奄美に来た」という令富さんら。今回の展示会では、「奄美」をテーマに、南国の花や奄美の風景などを描いた水墨画、写真を基に描いた田中一村の肖像画なども展示しており、「私たちは一村さんの絵にも生き方にもほれている。奄美の誇りであり日本の誇りである田中一村さんが、世界の誇りになってほしい」などと語った。

 オープニングイベントの一環として行われたライブペインティングでは、令富さんの代表作である「敦煌=とんこう=の壁画(敦煌千仏洞)」の飛天図の天女をモチーフにした絵画を勤さん、黎さんとともに制作。築地俊造さんの即興島唄をバックに、立神や南国の花など奄美の風景を取り入れた作品を完成させた勤さんは、「これから新しい年も迎える。みなさんが幸せになれるよう、祈りを込めて描いた」と笑顔を見せた。

 企画展は来年1月8日(4日は休館日)まで。観覧料は無料。時間は午前9時から午後6時(最終日は同4時)まで。

 問い合わせは同美術館TEL0997‐55‐2635まで。