「小宿っ子お助け隊」スタート

子どもたちが高齢者のごみ捨てを代行する「小宿っ子お助け隊」が奄美市名瀬の下方地区でスタートした(提供写真)

高齢者等のごみ捨て代行
名瀬下方地区 子ども関わりで広がり期待

 奄美市名瀬の下方地区で進められている地域支え合い体制づくり事業の一環として、「小宿っ子お助け隊」が23日スタートした。子どもたち(地区子ども会、スポーツ少年団など)が、同じ地域に住む高齢者や障がいを抱えている人たちの日常のごみ捨てを代行するもの。子どもたちも関わることで地域の支え合いの広がりにつながりそう。

 実施主体は、下方地区生活支援コーディネーターとして奄美市から委嘱されている勝村克彦さん。要介護または要支援状態にある高齢者、または日常生活の一部に他の人々のサポートが必要な心身の状態にある人に代わり、子どもたちが日常的なごみ捨てを代行することで、高齢者の安定した生活の維持・子どもたちの健全育成に役立てるのが目的。

 勝村さんは利用対象者の募集・利用契約締結、委託先の募集・委託契約締結や委託先が担当する利用対象者の選定、利用料の徴収・委託料の支払いなどの業務を担う。それにより、▽利用対象者が希望するごみ収集日の所定の時間(午前7時~同15分)に、委託先の児童生徒が、担当する利用対象者宅を訪問▽ごみ袋(奄美市指定のごみ袋のみ)を受け取って、所定のごみ捨て場に捨てる▽1回に代行できるごみは、燃やせるごみ(指定ごみ袋小2個または大1個)、燃やせないごみ(同)、段ボール・新聞紙・その他紙類(指定ごみ袋大に入る量)に限定▽利用料は、ごみ捨て1回につき50円(実施主体が利用者宅を訪問し1カ月分を一括して徴収)▽委託料は、実施主体が委託先に対し、ごみ捨て1回につき40円支払う(子ども会やスポーツ少年団の活動費に)―という流れで進められている。

 勝村さんによると、現在のところ利用者は2人(浜里町公営住宅入居者)で、「これからさらに増やしていきたい」。委託先の第一号となったのは百人以上の児童生徒が会員となっている浜里町子ども会。初日は、担当となった児童2人が公営住宅に住んでいる一人暮らしの高齢者宅(1人1カ所ずつ)を、学校に向かう朝7時台に訪問。「おはようございます」と朝のあいさつを交わした後、ごみを預かり、指定されている住宅のごみ捨て場に捨てた。終了後、2人は自宅に戻ってランドセルを背負い、登校した。

 勝村さんは「実際に代行する前は、子どもたちは緊張気味だったが、終わると『やって良かった』と満足そうな表情を見せていた。自宅近くの住宅であり、10分くらいで済む。最初はあいさつを交わす程度かもしれないが、重ねることで会話が生まれるのではないか。高齢者と子どもたちの触れ合いの場にもなる」と話す。

 公営住宅を抱える浜里町・平松町に限定した、住民参加による下方地区の地域支え合い活動。今回の「小宿っ子お助け隊」を皮切りに、高齢者の交流の場づくり、買い物弱者への支え合い活動、子どもの夕方の過ごし方・食の大切さ―などをテーマにした活動も計画している。勝村さんは「地域支え合いで子どもたちが関わることで親も関心を持ち、活動が地域全体に広がると期待している。地域に根付かせていきたい」と語った。