希少野生生物保護対策協

奄美会館で行われた「奄美群島希少野生生物保護対策協議会(奄美大島地区)」

170208希少野生生物保護対策協議会 (1)
奄美自然観察の森で希少な植物や野鳥について現地研修も行われた

金作原林道にゲート設置
ノヤギ対策 野生動物扱いの要望

 2016年度「奄美群島希少野生生物保護対策協議会(奄美大島地区)」が8日、奄美市名瀬の奄美会館であった。環境省や林野庁、県、市町村など関係機関による取り組み状況や成果をそれぞれ報告。林野庁鹿児島森林管理署名瀬森林事務所では今年度中を目標に金作原林道の2カ所に車両の進入を禁止するゲートを設置することなどを示した。

 同協議会は奄美群島の世界自然遺産への登録を念頭に、奄美群島における世界自然遺産候補地としての価値の維持および改善を図るため、希少野生生物の保護に関し、必要な対策について関係機関が調整・協議することが目的。関係機関から約30人が参加し、意見を交わした。

 16年度の取り組みでは、各機関が実施している保護活動やパトロールなどの実施状況を報告。瀬戸内町と瀬戸内警察署では「ウケジママルバネクワガタ保護対策協議会」を設置し、警察や海上保安署、環境省職員らとともに現地研修会を実施したことなどを説明した。また、各市町村でもノネコ対策として広報紙などでネコの適正飼育を呼びかけるなどの活動を実施。県自然保護課では16年度「ウスイロホウビシダ」が新たに種の保存法に指定されたことなども報告した。

 鹿児島森林管理署名瀬森林事務所の井川武史首席森林官はゲートの設置について「今年度の予算で設置を考えているので、3月中には設置したい」と説明。設置箇所は鹿児島森林管理署が管理する専用林道(金作原林道)で、ゲート間は約3・8㌔という。現在も車両の進入を控えるよう看板を設置しているが、旅行に来た外国人などが知らずに侵入する事例もあると説明。「希少植物の保護の観点からもゲートの設置には今のところどの関係機関も前向き。検討状況などを見定めた上で、設置していく」とした。

 このほか意見交換会では、ノネコやノヤギなどの外来種問題について奄美哺乳類研究会が言及。「譲渡だけでは解決しない。世界自然遺産登録へのスケジュールを考えると、待ったなしの状況」とした。また、ノヤギについても有害駆除の在り方について、現状の生け捕りや捕殺後の死体回収は労力がかかり危険ということから、イノシシと同様の野生動物扱いにしてほしいなどの指摘があった。

 午後からは龍郷町にある奄美自然観察の森での現地研修も実施。同観察の森では、敷地内で見られる希少種などについて指導員の川畑力さんが解説した。

 9日は徳之島地区でも同協議会が行われる。