喜界島でサンゴフェス

喜界町で行われたプレサンゴウィーク「喜界島サンゴフェス」

生態系保全で町おこしに
事例紹介

 プレサンゴウィーク「喜界島サンゴフェス」(主催・環境省、県、喜界町、喜界島サンゴ礁科学研究所、奄美群島サンゴ礁保全対策協議会)が11日、喜界町役場コミュニティーホールで行われた。地域とともに取り組むサンゴ礁保全に関する事例発表や工作・体験ブースなどのイベントを実施。町内外から多くの人が訪れ、喜界島のサンゴの魅力や今後の活用方法などについて意見を交わした。

 同フェスはサンゴ礁の大切さや暮らしとのつながりについて、地域の人にも楽しく知ってもらおうと企画。上村真仁さん(筑紫女子学院大学教授)、岩瀬文人さん(四国海と生きもの研究室代表)、土屋誠さん(琉球大学名誉教授)の3人が講演者として登壇した。

 講演では住民が専門家とともにサンゴ礁を保全しながら教育や観光などに活用している地域の事例を紹介。喜界島も暮らしの中で昔からさまざまなサンゴ利用をしている現状などを掲げ、「開発するというのはとても簡単。その中で、喜界島のサンゴは島の人たちが残してくれたもの。誇りに思ってほしい」(上村さん)などと指摘。四国の事例を紹介した岩瀬さんも、サンゴ礁文化の継承とサンゴ礁生態系を保全によって町おこしにつながることなどを示した。

 土屋さんは「なぜサンゴ礁を保全しなければならないのか」をテーマに講演と、同研究所の山崎敦子所長と対談。サンゴ礁には豊かな生物多様性があり、消波機能や環境浄化機能があることなどを示すとともに、赤土やオニヒトデ、白化現象などの問題を抱えている現状などを説明。「生態系への恩返しというのが世界中で議論になっている」とし、「喜界島は今回初めて来た島。これからみなさんと一緒にサンゴ礁に対する価値の理解を深めていきたい」などと話した。

 山崎所長は「サンゴ礁の研究拠点として、先進地の事例を知ることで、喜界島で島のみなさんとどのように保全に取り組んでいけるのかを作り上げていきたい」と語った。

 イベントでは研究所に設置する看板を、参加者とともに製作し、完成品の披露も。子どもから大人まで多くの人が参加し、にぎわいをみせた。